一瞬で子どもを静かにさせた
嫌みのない見事な対応

 列車内で誰かが迷惑行為を働けば、車内全体が一瞬にしてイライラモードになるので、たまったものではありません。しかし、乗客のある一言で、この嫌な空気が一変することもあります。

 都内在住のAさん(20代・女性)は、新幹線ではしゃぎまわる子どもに迷惑を感じていましたが、一瞬でその子を静かにさせ、さらに親にも嫌みなく注意するお見事な光景を見たと言います。

「去年の8月、名古屋へ帰省のため、東京から新大阪行きの新幹線のぞみに乗りました。当時は、夏休みの帰省シーズン真っただ中。家族連れや旅行客が多く、ほぼ満席。普段とは違うにぎわいを見せていました。新幹線は移動距離が長いので、穏やかに目的地へと向かいたいものです。私は駅弁を食べ満腹になり、車内の涼しさも相まって、気持ちよくウトウトしていました」

甲高い声を出し、車内を走る子ども
スマホをいじり続ける母親…

 しかし、そんなA子さんの幸せな時間は一変する。

「ちょうど熱海を過ぎたあたりでしょうか。静かな空間を切り裂く『キャアーー!』という甲高い子どもの声と、ドタドタと響く足音で、私はパッと目を覚ましました。すぐ前に座っていた5歳くらいの男の子が、車内の通路を走りだしたんです」

「車両の端から端まで、何度も往復し、走り抜けているではありませんか。通路は狭いし、新幹線は揺れます。足元にある乗客の荷物に足を引っ掛けて転んだら危ないなあと、ヒヤヒヤしていました。『親は一体何をしているんだ』と思っているのは私だけではなかったはず。母親らしき若い女性は、スマホを見ており、一向に注意する気配がありません」

「他の乗客たちも、私と同じくイライラと不安が入り混じった複雑な感情を抱えていたと思います。母親は時々、チラリと子どもに視線を送っては、諦めたように再び目を伏せている。『危ないなあ』と聞こえるようにぼやく男性もいました」

 しかし、そんな迷惑行為を一気に終わらせた救世主が登場したという。

「何度か往復し『もう一回走る』と言わんばかりにはしゃぐ子どもと、それを止めずにスマホをいじり続ける母親。『誰か止めてくれ』そう思った矢先、膠着(こうちゃく)状態を一瞬にして打ち破った女性がいたんです」