テクノロジーの功罪をよく知る
プロフェッショナルたちの選択は?

 シリコンバレーといえば、最先端のテクノロジーが集結した、世界をリードする企業やイノベーションの中心地として知られています。

 そのシリコンバレーの中心にありながら、デジタルデバイスをほとんど使用させない教育方針を掲げる学校があります。それが「シリコンバレーヴァルドルフスクール(Silicon Valley Waldorf School)」です。

 ヴァルドルフスクールでは、教育の初期段階においてタブレットやコンピューターなどのデジタルデバイスを一切使用しません。その根底にあるのは、「幼少期には現実世界での体験や人間同士の交流を優先させるべき」という考え方です。

スティーブ・ジョブズが「我が家は子どもがテクノロジーに触れる時間を非常に制限している」と語ったワケ『DIGITAL STANCE スマホに支配されない生き方 テクノロジーとの「健全な距離感」を見つける』(ピョートル・フェリクス・グジバチ、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 これは、1920年代にオーストリアの思想家ルドルフ・シュタイナーが提唱した「シュタイナー教育」に基づき、世界中のシュタイナー学校で共有されている理念です。

 同校に子どもを通わせる親たちは、シリコンバレーで働くテクノロジーのプロフェッショナルが多いことでも知られています。彼らは、テクノロジーの可能性をよく理解している一方で、その危険性にも敏感です。

「テクノロジーは子どもたちが成長してからでも習得できる」と断言し、幼少期には現実世界での体験を優先しているのです。