男性用小便器は人権侵害か?男性の“性と権利”が軽視される根深い理由写真はイメージです Photo:PIXTA

「SRHR=性と生殖の健康と権利」と聞いてもピンと来ない人の方が多いかもしれない。日本での認知率はまだ25%ほどにとどまるというこの言葉は、男性の方が認知率が高いものの、自分ごとと考える男性は女性よりも少ないのだという。(フリーライター 鎌田和歌)

「レスではない」方が
恥ずかしい?

 日本ではセックスレスの夫婦が珍しくなく、半数程度のカップルが当てはまるという調査もある。ある男性の友人から先日こんな話を聞いた。

「周囲にセックスレス夫婦が多過ぎて、うちもレスであることを前提に話されることが多い。うちは結婚20年目にして変わらず営みがあるのだが、こっちがおかしいのかと思って言いづらい」

 彼はこれが別に悩みだとは思っていないがと前置きした上で、レスではない夫婦の側が気恥ずかしい思いをする状況を笑っていた。

 また、企業でのハラスメント研修を行う知人によれば、最近でも男性上司が男性の部下を風俗に連れて行こうとしたり、風俗に行かない部下を茶化したり、といったケースがあるのだという。昨今の風潮からハラスメントには厳しくなったかと思いきや、組織によってはまだ「同性であってもセクシャルハラスメントはある」と理解されていないことがままあるのだそうだ。

 人は自分の生きてきた環境、受けてきた教育を前提にして考える生き物であり、価値観を変えるのはなかなか難しい。しかし「性」に関する分野のアップデートはここ10年でも進んでおり、性教育が敬遠されがちな日本においてもさまざまな問題提起が行われている。

 今から10年後の価値観は今とまったく違うかもしれず、次世代との認識を合わせるためにも、最近のアップデートを知ることは必要だ。