
これが現代の「おもしろうてやがて悲しき」なのかもしれない。「残クレ(残価設定型クレジット)」のローン制度を使ってTOYOTA車を購入するファミリー層を描写した曲がインターネット上でバズっている。AIを駆使して作られたのであろうこの動画に、中高年が見入ってしまう理由は……。(フリーライター 武藤弘樹)
落ち着いた貫禄ある「ネットミーム」
「残クレアルファード」というフレーズを含む楽曲群がバズっている。ネットをある程度やる人なら知っているか、あるいはどこかでその名を見かけたことくらいはあるかもしれない。AI画像を使ったラップ動画「残クレアルファード」がYouTubeなどに投稿されて注目を集めたことから、その派生の動画・曲が次々に生み出されてミーム化している。
ネットミーム的な流行りものだから、一時の過熱が落ち着けば関連の界隈は凪のような状態になるのが普通だが、残クレアルファードは現代日本の一部分を象徴するような普遍性を備えているので、流行りが一段落したあとも脈々と認知されていきそうである。
それに、若年層寄りのネットミームはバズる規模もスピード感もけた違いにすさまじい分、ブームが過ぎた後にはめっきり関心を集めなくなるが、残クレアルファードはもう少し上の年齢が面白がっているミームなので若年層向けミームよりは地に足がついていて、これも「ミームであってもしばらく残りそう」と思われる理由である。
残クレアルファードとは何か。なぜはやったのか。などを解説しつつ、そこから垣間見える現代の真理に迫っていきたい。