なぜ正当化する人はあなたを悪者にするのか?
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正当化する人にご用心
今日は「正当化する人にご用心」というテーマでお話しします。
世の中には、なんでもかんでも正当化する人がいます。あからさまに言い訳めいた口調で自己防衛をしてくる人もいれば、一見優しそうで丁寧、穏やかに見えるのに、よく聞くと話のほとんどが正当化…という人もいます。
そんな人がなぜ危険なのかをお伝えしましょう。
「防衛機制」とは何か?
精神分析の分野では、人間の心には「防衛機制」という働きがあるとされています。
これは、現実をそのまま受け入れると精神的に耐えられないときに、自分の気持ちを加工して心理的な安定を保とうとする心の働きです。
たとえば、心の中に葛藤が生じたとき、人は無意識に本当の気持ちを別の形に置き換えてしまうことがあります。
自分を正当化する例
タバコを吸いたい人が「タバコは体に悪い」と言われると、「タバコを吸っていても長生きしている人はいる」「うちの祖父もそうだった」などと理由を並べ、自分の行動を正当化します。
また、好きな子にわざと意地悪してしまうのも、防衛機制の一種です。
よくあるのは「投影」というタイプで、自分が嫌いな相手に対し、「あの人が私を嫌っている」と解釈してしまうことがあります。
本当は自分が嫌っているのに、それを認めたくないためです。恋愛でも、実は自分が相手を好きなのに「相手が自分を好きだ」と思い込むことがあります。
防衛機制のレベル
防衛機制にはレベルの低いものから高いものまであります。レベルの低いものは、単純な否認や他責(他人のせいにする)などです。
一方で、レベルの高い防衛機制は、悔しさをバネに努力したり、辛い経験を芸術や創作に昇華したりする「昇華(しょうか)」です。これは良い防衛機制とされています。
しかし、正当化は残念ながら高いレベルには入りません。強く正当化を行う人は、自分が否定されることに強い拒否感を持つ傾向があり、結果として「相手が悪い」という構図を作ってしまいがちです。
正当化する人の危険性
一見穏やかで人当たりの良い人でも、正当化が強いと長期的にこちらが悪者にされる可能性があります。
さらに、自分に賛同する仲間を増やし、合わない人を排除する動きになる場合もあります。
そのため、「あまり謝らない」「常に自分の行動を正当化する」ような人には注意が必要です。こうした人が多い組織は、内部が歪み、排除や対立が起きやすくなります。
自分が正当化しやすい場合
もし自分にも正当化の傾向があると感じたら、まずは事実をひと通り受け止めたうえで、「ではどうするか」を考えるようにするとよいでしょう。
正当化ばかりしている人にはアンテナを立てておくことが大切です。一見穏やかでも、長期的に見ると人間関係に悪影響を及ぼすことがあります。
自分自身も同じ傾向に陥らないよう注意し、健全な人間関係を築くことを心がけましょう。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。