正解:B社
B社のほうが収益基盤がしっかりしています。
さらに、特別損益を除いた本来の稼ぐ力で見れば、B社は見た目のPERよりも割安と言えます。
利益の中身を確認する
B社は営業利益率40%、経常利益率35%と高水準にもかかわらず、当期純利益率が5%と低いのは特別損失の影響です。
一方、A社は営業利益と経常利益がマイナスなのに、当期純利益率が25%と高いのは特別利益が計上されているためです。
当期純利益
=経常利益+特別利益-特別損失-税金等
特別利益は、不動産売却益や持ち合い株式の売却益など一時的な利益です。繰り返し発生する利益ではないので、特別利益の金額が大きくても、収益基盤がしっかりしているとは言えません。
特別損失は、固定資産の減損損失や、リストラ損失、災害による損失などで、これも原則一時的な損失です。特別損失が大きくても、収益基盤が弱いとは必ずしも言えません。
したがって、収益基盤の堅さは、特別損益を除いた営業利益や経常利益と、その利益率で判断すべきです。
営業利益率40%、経常利益率35%のB社の方が、明らかに収益基盤がしっかりしています。
特別損益を除いた「本来の稼ぐ力」でPERを見直す
予想PERはA社10倍、B社20倍なので、一見するとA社が割安に見えます。
ところが、特別損益を除いたベースで比べると結論が逆転します。
■ A社の経常利益=-10(赤字)
→ 特別損益を除けば、PERは算出不能です。
■ B社の経常利益=35
→特別損益を除き、実効税率40%と仮定した場合、B社の純利益は約21となります。PERは約5倍まで低下し、見た目のPERより割安であることがわかります。