どん底を経験した精神科医が断言…「つらい日々は終わり、穏やかな毎日は必ず戻ってくる」
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で幸せを呼び込む言葉』(ダイヤモンド社)など、累計33万部を突破した人気シリーズの原点、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)です。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。

【精神科医の告白】父もパートナーも失い、うつ病になった私が「大丈夫」と伝えたい理由Photo: Adobe Stock

私が情報発信する根本的な動機

今日は、私が様々な本を執筆したり、こうして情報発信をしたりしている、その根本的な動機について、原点に立ち返ってお話ししたいと思います。

最も大変だった30代の日々

これまで何度かお話ししてきましたが、私は30代、特に半ばから後半にかけてが人生で最も大変な時期でした。父親を亡くし、その後パートナーも失い、自分自身もうつ病になるなど、さまざまな出来事が重なったのです。

それまでの私の人生は、比較的平和でのんびりとしたものでした。少々だらしなくても何とかなるような、いわば「イージーモード」の人生を送ってきたのです。

だからこそ、その後に訪れた過酷な出来事に直面した時、かつての穏やかな日々を思い出し、「もうあんなふうには戻れないのではないか」と絶望的な気持ちになりました。

次から次へと起こる出来事は本当にしつこく、とても大変な時期だったのです。

「なんとかなるさ」と歩んだ回復への道のり

しかし、「もう、ボチボチやるしかない」と覚悟を決め、一歩一歩進んでいくうちに、数年、感覚としては10年ほどかかりましたが、今ではまた「楽しい」という感覚が戻ってきました。

この辛い経験を通して、「いつかはなんとかなる」と諦めずに信じて生きていくことの大切さを痛感しました。

その「いつか」がいつ来るのか分からないのが辛いところではありますが、それでも希望を持ち続けることは非常に重要です。

平穏な日々、ほのぼのとした時間、少しダラダラした生き方。そういったものは、頑張っても頑張らなくても、またきっと戻ってくる。そのように信じて生きていくことが大切だと、心から思います。

当たり前の日常にある「素晴らしさ」

苦しい時期を乗り越えた今、ぼーっとしながら「これ、美味しいな」「この景色、きれいだな」「毎日そんなに嫌なこともないな」と感じられるような日々を取り戻せたことに、深く感謝しています。

もちろん、この平穏が永遠に続くとは思っていませんが、何かあっても、いずれまた戻ってこられると信じています。

そして、「自分がただここにいる」ということが、どれほど楽しく、ありがたいことかと気づかされました。特別なことは何もなくても、自分が当たり前にこの地球上に存在しているという事実そのものが、こんなにも素晴らしいことなのかと。

そんな心境になれた時、以前も感じていたように「世の中はなんて綺麗なんだろう」と、再び思えるようになったのです。

今、苦しんでいるあなたへ伝えたいこと

この気づきを、皆さんにお伝えしたいというのが、私の活動の最も大きな動機です。

人は問題を抱えると、どうしてもそのことに気を奪われ、モヤモヤとした嫌な気分に支配されてしまいがちです。

いつ解決するかも分からず、一つ落ち着いたと思ったら、また別の問題が顔を出す。そんな中で、「何のために生きているのだろう」と感じてしまうことは、決して少なくないと思います。

しかし、大丈夫です。いつか、必ず穏やかな日々は戻ってきます。諦めずにいれば、ちゃんとその日はやって来ます。それが「いつ」、あるいは「どのような形」で訪れるのかは分かりません。

精神科を受診したり、私の本を手にとってくださったりする方は、今まさに苦しい状況の中にいるかもしれません。だからこそ、私は伝えたいのです。「ちゃんと元に戻れるから、大丈夫ですよ」と。

そのまま、ご自身のペースでボチボチとやっていけばいいのです。

私にできるささやかなお手伝い

未来に希望があると思えるかどうかで、日々の過ごし方は大きく変わってきます。そして、いつか穏やかな日々が戻ってきた時、「今までやってきてよかった」と、自分が今ここにいることに心から感謝できる日が来るでしょう。

そのためのささやかなお手伝いならば、私にもできるかもしれない。私は医師として特別にレベルが高いわけでもなく、他に秀でた特技もありません。

しかし、自身の経験から思いついた、少し気の利いたことをお伝えすることはできるかと思い、このような活動をしています。

ですから、私の発信に耳を傾けてくださっている皆さん、いずれ穏やかで素敵な日々は必ず戻ってきます。その時には、これまでの全てが報われ、「やってきてよかった」と思えるはずです。

だから、大丈夫ですよ。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。