背中を丸めながらこたつに入る80代の高齢者女性写真はイメージです Photo:PIXTA

60歳を過ぎると「年相応」を意識し、「終わりを見据える」という人も多い。しかし人生100年時代に突入した今、「定年退職=引退」という認識は過去のものとなりつつあるのだ。60歳以降の人生をエネルギッシュに過ごすためのコツを医師が解説する。※本稿は、小林弘幸『老いが逃げていく10の習慣 自律神経さえ整えばすべてうまくいく』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。

「定年」「還暦」という
言葉に惑わされない

 順天堂大学で便秘外来を開設してそろそろ30年になりますが、患者さんを診ていて明らかなことが1つあります。年齢的には60歳以上の方が圧倒的に多いのですが、特に60歳を境に急に増える傾向があるのです

 とくに男性は顕著で、私は「定年」が暮らしに影響して、便秘になる患者さんが増えているに違いないと思わざるを得ません。世の中から「定年」という制度がなくなれば、皆さんもっと生き生きとして、健康的になるのではないかと思います。

 自律神経は気持ちの持ち方1つで影響を受けますが、この「定年」という言葉のイメージが、どうも自律神経にはよくないような気がしています。元気な方でも、この言葉のイメージにある意味洗脳されて、自動的に限界をつくってしまっているように思えて仕方ありません。

 私も数年前に「還暦」を迎えましたが、この「還暦」というのも同じで、同級生たちを見ているとどうも寂しい感じがします。「俺ももう還暦だから、人生これで終わっちゃったな」とか「還暦過ぎたんだし、余生はゆっくり過ごしたい」など、どうも終わりの節目として使われているように思えます。