「あれ、最近やりにくい…」その違和感、放置は危険! ダメな組織で真っ先に失われる“たった1つ”のこと
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)など、累計33万部を突破した人気シリーズの原点、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)です。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。

【精神科医が教える】「あ、この会社ヤバいかも」…優秀な人から辞めていく組織の“崩壊フラグ”が身近すぎて怖いPhoto: Adobe Stock

組織が崩壊する本当の理由

今日は、細かい部分が疎かになることで、組織が崩壊に向かうというお話をします。これは、まさに「神は細部に宿る」という言葉が示す通りです。

組織に限らず、人や物事全般に言えることですが、「あれ?」「以前に比べて少し不便になったな」と感じることが増えてきた経験はないでしょうか。

一見すると大きな問題はないように見えても、日常の些細な部分で「やりづらくなった」「使いにくい」「関わりにくい」「引っかかる点が増えた」と感じるようであれば、それはその組織が崩壊へ向かう兆候と言っても過言ではありません

衰退のサインは「小さな違和感」から

組織も人間も、あからさまに危機的な状況に陥っている時は、なるべく平穏を保とうとする自己防衛機能が働きます。

そのため、周りから見て明らかに「これはまずい」とわかるような状態は、ギリギリまで隠そうとするものです。

本当に深刻な事態は、ある日突然訪れるように見えます。しかし、その水面下で問題が進行している間、組織は大きな問題への対処に追われ、細かい部分にまでサポートや気を配ることができなくなります。

その結果、「普通に考えれば、こうしたほうが良いはずだ」というような、ごく当たり前の改善がおろそかになり、小さな問題が放置され始めます。

そうして、徐々に大きな物事も円滑に動かなくなり、ある日ダムが決壊するように、すべてがダメになってしまうのです。

良い組織と悪い組織を見分けるポイント

ある組織が今後もうまくいくのか、その可能性を見極めたい時、私たちはどこに注目すれば良いのでしょうか。企業の株価のような分かりやすい指標もありますが、もっと本質的な部分を見ることが大切です。

それは、「見つかった問題点を、一つひとつ着実に改善しているか」という点です。

日々、少しずつでも良い方向に進んでいる組織は、成長する可能性が高いと言えます。まさに「神は細部に宿る」のです。

いずれ深刻な問題に発展する危険性

逆に、以前はなかったはずの小さな違和感が増えているにもかかわらず、それが放置されている場合、たとえ現状では大きな影響が出ていなくても、いずれ深刻な問題に発展する危険性をはらんでいます。

物事が順調に進んでいる組織では、問題点に気づき、それを改善していくというサイクルが当たり前のように機能しています。

組織が衰退する時、真っ先に機能しなくなるのが、この「改善のサイクル」なのです。したがって、小さな問題が増えていると感じる場合、その組織は今、大変な状況にある可能性が高いと考えるべきでしょう。

自分自身の成長にも当てはまる「改善のサイクル」

この原則は、ご自身の仕事や人生を良い方向に導きたいと考える際にも、非常に役立ちます。

もちろん、最初からすべての問題点をなくすことは不可能です。しかし、課題に気づき、修正できるところから一つひとつ手をつけていく。

そうして、懸念材料や問題点が着実に減っていると実感できるのであれば、ご自身のやっていることは順調に進んでいる証拠です。このサイクルが回っていれば、他の物事も自然と良い方向へ向かっていきます。

逆に、この改善のサイクルが滞り始めたら、それは物事が右肩下がりになっているサインです。

重要なのは、今の状態そのものよりも、「どちらの方向へ向かっているか」というベクトルです。そして、そのベクトルは、ごまかしのきかない「細部」にこそ、最も明確に現れるのです。

ごまかしのきかない「細部」に本質は現れる

物事の成り行きや本質を見抜くには、この「細部」に注目することが最も分かりやすい方法です。なぜなら、細かい部分にこそ、その組織や個人の余裕のなさや綻びが隠しきれずに現れるからです。

私が、本能的に「あまり近寄りたくないな」と感じたものが後にうまくいかなくなったり、逆に「これは面白い」と感じたものが成功したりすることがあるのは、おそらく無意識のうちに、そうした細部から伝わる「居心地の良さ」や「違和感」を察知しているからなのだと思います。

仕事、人間関係、そして日々の暮らしのあらゆる場面において、この「神は細部に宿る」という原則は、物事を良い方向へ導くための、非常に重要な指針となるでしょう。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。