「断れない人」はなぜ不誠実なのか? 交渉で信頼される人の言葉の選び方
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「言わない意見」は、存在しないのと同じ
今日は「言わない意見は、存在しない意見として扱われる」というテーマでお話しします。
ビジネスは「交渉」が前提
私は今、仕事である案件を進めているのですが、ビジネスの場というのは基本的に「交渉」が前提になります。
相手がこちらの都合を考えて、いいように話を進めてくれることはまずありません。
信用できる・できないの話ではなく、最初はたいてい、自分たちに有利な条件を提示してくるものです。そこからお互いに条件を出し合って、落としどころを探っていくのが交渉の基本です。
お金の話は恥ずかしくない
日本では「お金の話をするのはみっともない」「恥ずかしい」といった文化がありますが、これはビジネスにおいて非常に不利になる考え方です。
「お金の話をしたらイヤなやつと思われるかも」と遠慮してしまうと、相手にとっては“都合のいいカモ”になってしまいます。
ビジネスでは、条件のすり合わせが必要不可欠です。だからこそ、自分の希望条件や意見は、遠慮せずにきちんと伝えるべきです。
「はい」と言えないなら、言わなくていい
たとえば、相手が「この条件でどうですか?」と提示してきたときに、本当は納得していないのに「はい」と言ってしまう――。
それは一見、誠実に見えるかもしれませんが、私はむしろ「不誠実」だと思っています。
なぜなら、「本心ではない言葉」を使っているからです。言葉と気持ちがズレている状態こそが、不誠実ではないでしょうか。
条件が合わないのは「相性が悪い」だけ
自分の希望条件を正直に伝えた結果、相手と話が合わなかったとしても、それは「気まずいこと」ではありません。
ただ単に、条件が合わなかったというだけのこと。頑張ってもうまくいかない相手もいます。
そういうときは、潔く「今回はご縁がなかった」と捉えたほうが、よほど健全です。
「察して文化」は、通じない
これはビジネスだけでなく、プライベートの場でも言えることです。
「言わなくてもわかってくれるはず」「普通、気づくでしょ?」という“察して文化”に頼るのは、ある意味では究極の甘えかもしれません。
相手にとっても負担になりますし、伝わらなかったときの落胆も大きいですよね。
「伝える」ことを習慣にしよう
言わなければ、意見は存在しないものとして扱われてしまいます。
「わかってくれるはず」は通用しない。だからこそ、自分の考えや希望は、できる限り言葉にして伝えていくことが大切です。
世の中は想像以上に“手強い”ものですから、余計なストレスを抱えないためにも、「伝える」という習慣を持っておくと、ずいぶん生きやすくなりますよ。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。