「想像より、相当たのしい。」という
キャッチフレーズどおりのBEV
インスターは騒音と振動の低減にも、なかなか手の込んだ対策を施している。たとえば、フロアメンバーを採用して剛性の強化と振動の低減を図ったり、補強した厚いラゲッジボードを追加したり、ドアとボディにウェザーストリップを備え二重でシーリングを施したりという具合だ。クラスを超えた上質な乗り味には、これらが効いている。
パフォーマンスも気持ちいい。最高出力84.5kW/最大トルク147Nmで、最高速度が150km/h、0→100km/h加速は10.6秒と動力性能の絶対値はそれなりだが、「日本の穏やかな交通環境に最適化を図った」という加速特性により扱いやすく、ストレスを感じる場面はない。
走行モードは、エコ/ノーマル/スポーツ/スノーの4種。回生ブレーキは、強さを選べるほか、ワンペダルドライブのi-Pedalの採用や、先行車やナビ情報をもとに回生ブレーキ強度を自動的に調整し停止までサポートするスマート回生ブレーキといった先進的な機能も搭載している。先進機能の完成度もかなり高いレベルにあることが確認できた。
運転支援機能も充実していて、車線維持機能については、よりライントレース性を高めるように日本仕様は制御を見直したという。
インスターは、手ごろな価格とサイズで十分な距離が走れる。確かに「想像より、相当たのしい。」というキャッチフレーズどおりのBEVである。見て乗って、本当にオールマイティなスモールBEVだと感心した。
(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/横田康志朗)