
「大統領に返り咲けば、ウクライナ戦争を24時間で終わらせる」。そう豪語したトランプだったが、和平調停は遅々として進まない。この交渉の行方が、トランプの実力を測る物差しになっていることもあり、8月15日にはトランプはアラスカにプーチンを招くなど必死だ。これからウクライナ戦争はどこに向かうのか?※本稿は、福山 隆『トランプ帝国の「ネオ・パクス・アメリカーナ」-米中覇権戦争の行方と日本のチャンス』(ワニ・プラス)の一部を抜粋・編集したものです。
ウクライナ戦争終結時期が
トランプ政権の命運を左右する
トランプによるウクライナ戦争の和平調停は、以下の四つのシナリオが考えられる。
S1(編集部注/scenario1):「トランプの任期前半」の2025年から2026年前半の間にロシアとウクライナの和平協定が締結される場合。トランプはウクライナ戦争の和平調停について、「大統領就任前」とか「就任後24時間以内」と豪語してきたが、現在の状況から見て、さほど簡単に調停できるとは考えられない。
S2:「トランプの任期中盤」の2026年後半から2027年前半の間にロシアとウクライナの和平協定が締結される場合。
S3:「トランプの任期後半」の2027年後半から2028年の間にロシアとウクライナの和平協定が締結される場合。
S4:「トランプの任期(2029年1月まで)内」にロシアとウクライナの和平協定が締結されない場合。
ウクライナ戦争和平調停の完遂時期が、S1(トランプの任期前半)やS2(トランプの任期中盤)のように早ければ早いほど、トランプの政権運営には内政外交ともに弾みをつける“追い風”となるだろう。