中国政府は、ロシア軍への公式な関与を否定しているが、ウクライナ側はさらに多くの中国人がロシア軍で戦闘に加わっている可能性を指摘している。

 中国は、「ウクライナ戦争が延々と続き、NATOとロシアが消耗すれば、中国にとって“漁夫の利”を得ることができる」と考えているのではないだろうか。

トランプの牽制を受け急速に
歩み寄るロシアとウクライナ

 トランプは2025年4月18日、ロシアやウクライナが和平合意への到達を「とても難しくする」なら、アメリカはウクライナでの戦争をめぐる協議の仲介を「見送る」ことになると述べ、ウクライナ和平協議に近く進展がなければ、仲介を見送る可能性を示唆した。

 4月21日、この発言に関する、記者から「交渉の継続にはどのような進展が必要なのか」との質問に対し、トランプは「両国から『終結させたい』との熱意が見られなければならない」と述べ、そのことは「“すぐに”分かるだろう」との見通しを示した。

 トランプが和平仲介を見送ることになれば、ウクライナ戦争は長期・泥沼化するのは必至だ。このことを懸念したのか、早速、プーチンとゼレンスキーはトランプの「仲介見送り発言」に反応を見せた。

 4月21日の報道によると、プーチンはウクライナとの和平交渉に前向きな姿勢を示した。プーチンは同日、ウクライナのゼレンスキー大統領が提案した民間施設への攻撃停止について、ウクライナとの対話の可能性を「排除しない」と述べている。とくに民間インフラへの攻撃停止案について検討する意向を表明した。

 一方で、ゼレンスキーは停戦が実現すればロシアとの協議に応じる用意があると述べた。

 トランプの「仲介見送り発言」に素早く反応したプーチンとゼレンスキーの言動からふたりの和平交渉への“本気度”が感じられる。そのことはトランプも感得したはずだ。

 さらに、英紙『フィナンシャル・タイムズ』は4月22日、消息筋の話として、プーチンが「現在の前線での戦闘終結」をトランプ政権に提案したと伝えた。これが事実であれば、ロシア軍の占領下にない地域をも含むウクライナ東南部4州(ドネツク州、ルガンスク州、ザポリージャ州、ヘルソン州)全域のロシアへの割譲を停戦条件のひとつに掲げてきたプーチンが“譲歩”を示した形となる。