【マンガ】そりゃ儲かるわ…大金持ちが教えるテッパンの「儲かる法則」『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク

三田紀房の起業マンガ『マネーの拳』を題材に、ダイヤモンド・オンライン編集委員の岩本有平が起業や経営について解説する連載「マネーの拳で学ぶ起業経営リアル塾」。第26回では、新たな市場を開拓する「ブルーオーシャン戦略」について解説する。

先行者は、競争に巻き込まれない

 花岡たちは、都内各所にTシャツ専門店を展開するという新事業に向けての助力を得るため、大手広告代理店・電広堂を訪れる。そして格闘技イベント・豪腕のグッズ製作をきっかけに交流を持つようになった電広堂の中谷から、協力を取り付けることに成功する。

 しかし同時に、花岡たちを苦しめたライバル・一ツ橋物産の井川泰子が豪腕グッズの担当から外れ、彼女がアパレル事業に異動することを知る。中谷も花岡に対して、井川からの妨害に注意するよう促すのだった。

 電広堂をあとにした花岡は、事業の出資者である塚原為ノ介のもとを訪れる。花岡が新事業について報告すると、塚原は「まさにタバコ屋の発想だ」「もうかる法則にのっとっている」と絶賛する。

 塚原の語る「もうかる法則」というのは、顧客と販売店がダイレクトにつながっているビジネスモデルを作っていること。

 これまでに何度も触れてきたSPA(Specialty store retailer of Private label Apparel。自社ブランドのアパレル製品を企画や製造から流通、販売まで一貫して行うモデル)そのものだ。

 塚原自身は通信教育の事業を立ち上げて成功して投資家として活動するようになったが、祖業においては教材の作成から流通、販売までを通信販売で一貫して取り組む、いわばSPA同様のモデルを構築していたのだという。

 さらに塚原は、「誰も手をつけておらず、最初に始めた者は過度な競争に巻き込まれなくて済む」と、自身の戦略を語る。

成功の法則は「血みどろの赤い海」を避けること

漫画マネーの拳 3巻P183『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク

 塚原が語るのは、いわゆる「ブルーオーシャン戦略」と呼ぶもので、起業の世界でも長く注目されてきたものだ。これはINSEAD(欧州経営大学院)の教授だったW・チャン・キムとレネ・モボルニュが提唱した経営戦略だ。

 競合が血みどろで争う「レッドオーシャン(赤い海)」を避け、競合のいない未開拓の「ブルーオーシャン(青い海)」で市場を切り開く事ができれば、価格競争に巻き込まれることもなく、限られた投資で先行者利益を得ることができるというワケだ。

 当時は1点ずつのレンタルが主流だったビデオ・DVDを定額サービスとして展開し、さらにはストリーミングサービスに進化したNetflix。

 iPodとiTunes Store(現Apple Music)でサブスク音楽視聴の市場を生み出したApple。

 日本ならば携帯電話(ガラケー)に特化したインターネットサービスを展開したNTTドコモの「iモード」なども、ブルーオーシャン戦略にのっとり市場を切り開いたと言って過言ではないだろう。

 塚原の薫陶を受け、いよいよ店舗探しを始める花岡。だがそこに、またライバル・井川が立ちはだかる。

漫画マネーの拳 3巻P184『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク
漫画マネーの拳 3巻P185『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク