冒頭で紹介した守谷市や川口市のように、ゴミ処理施設で大規模な火災が起きると、復旧には長い期間を要する。ゴミ処理施設の機能が止まると、ゴミの収集が行えなくなったり、近隣の自治体や民間業者に有料で協力を依頼してゴミ処理を代行してもらったりすることになる。もちろんそれには住民の税金が使われるわけで、ゴミ処理施設の火災というのは地域にとって非常に大きな問題なのだ。

茨城県守谷市にある「常総環境センターごみ処理場」火災現場の様子。原因はモバイルバッテリーと見られている。火災が起こったのは2024年12月。2025年8月の現在もまだ復旧しておらず、守谷市では近隣の市に有料でゴミ処理を依頼している茨城県守谷市にある「常総環境センターごみ処理場」火災現場の様子。原因はモバイルバッテリーと見られている。火災が起こったのは2024年12月。2025年8月の現在もまだ復旧しておらず、守谷市では近隣の市に有料でゴミ処理を依頼している(出典:守谷市公式チャンネル) 拡大画像表示

リチウムイオン電池をゴミとして捨てるのは絶対ダメ!

 リチウムイオン電池は、充電することで繰り返し利用できる二次電池と呼ばれるタイプの電池だが、充電を繰り返すごとに容量が少しずつ減っていくため、永久的に利用できるわけではない。通常のリチウムイオン電池では、300~500回の充放電を繰り返すと、容量がかなり減るため、使われなくなることが多い。

 寿命を迎えたリチウムイオン電池を、どうやって廃棄したらいいのか。これが、本記事でもっとも伝えたいテーマだ。

 まず、大前提として、「リチウムイオン電池を通常のゴミとして捨てることはできない」ということを理解してほしい。しかし実際には、不燃ゴミとしてリチウムイオン電池を内蔵した機器が捨てられることも多く、それがゴミ収集車やゴミ処理施設の火災の原因となっている。

「季節によっても捨てられるものが変わってきたりします。例えば、夏が終わって、秋、冬の初めくらいだと、ハンディ扇風機が捨てられることが多くなります。ハンディ扇風機はかなり安いものも出ているので、一夏使ったからもう捨てよう、みたいな感じですね。電子タバコなどはここ5年くらいで、かなり多くなりました。それも捨て方が分からないので、不燃ゴミや可燃ゴミの中に混ぜて捨てられています」(滝沢さん)

 電子タバコのような小さい製品でも、リチウムイオン電池から一度火が出てしまうと、まるで火山の噴火のように勢いよく燃えるので、危険性は大きい。