リチウムイオン電池を廃棄する方法(膨らんでいない場合)

 では、不要になったリチウムイオン電池が内蔵されている機器を廃棄したい場合はどうすればいいのだろうか。まず、膨らんでいないリチウムイオン電池を廃棄する場合について説明する。膨らんでいないリチウムイオン電池を廃棄するためのルートはいくつか存在するが、まずは、一般社団法人JBRCのルートを利用するのが基本だと、滝沢さんは語る。

「リチウムイオン電池の回収なら、まずはJBRCルートですね。量販店に回収ボックスがありますから、そこに入れるのが基本ですね。国内のメーカーであれば大体JBRCの会員になっているので、そこで回収してもらいます」

【量販店で回収(JBRCルート)】

 JBRCは、小型充電式電池のリサイクル活動を推進する団体として、2004年4月に設立された。JBRCは、ニッカド、ニッケル水素、リチウムイオンの3種類の電池を回収しているが、JBRC会員メーカーの製品しか回収対象とならないことに注意したい。

 JBRCルートで、リチウムイオン電池を廃棄する場合は、まずその製品のメーカーがJBRCの会員になっているか確認する。JBRCの会員企業リストは、このページにある。会員企業リストを見ればわかるが、滝沢さんがいうように、国内のほとんどのメーカーが会員となっている。

 その製品のメーカーがJBRC会員であることが確認できたら、最寄りのJBRCの協力店や自治体施設を検索する。JBRC協力店・自治体施設は、このページから都道府県と市区郡を選択して検索が可能だ。例えば、東京都千代田区で検索するとソフマップやビックカメラ、エディオンなどの量販店が出てくる。JBRCの協力店には、回収ボックスが用意されているので、そこにリチウムイオン電池を入れればよい。なお、モバイルバッテリーは本体ごと回収されるが、それ以外の機器は、リチウムイオン電池を取り出して、金属端子部を絶縁テープで絶縁することとされている。詳しくは、こちらをご覧いただきたい。

【地方自治体による回収】

 もう一つの主なルートが地方自治体による回収だ。地方自治体によって、リチウムイオン電池を回収しているかどうかは異なるが、回収を行っている自治体では、製品のメーカーを問わないことが多いので、JBRC会員ではないメーカーの製品も、地方自治体なら回収の対象となる。

 例えば、茨城県守谷市の場合、市役所や公民館などに置かれている回収ボックスで回収可能な電池は「マンガン乾電池、アルカリ乾電池(アルカリマンガン乾電池)、リチウム一次電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、モバイルバッテリー、電池が外せない電化製品」となっており、JBRCよりも対象範囲が広い。地方自治体による回収が行われているかどうかを知るには、例えば、「○○市 リチウムイオン電池 回収」といったキーワードで検索するといい。

 リチウムイオン電池の回収を行っていない地方自治体もまだ少なからずあるが、2025年4月15日に、環境省から全国の地方自治体へ、家庭から出される不要になったすべてのリチウムイオン電池を市区町村が回収するよう求める通知が出された(PDF)。この通知には強制力はないが、今後はリチウムイオン電池の回収を行う地方自治体が増えることが期待される。

 なお、この通知によると、リチウム蓄電池などの分別回収を行っている市町村は75%に留まる(2023年度)。その後も少しずつリチウムイオン電池の回収を行う市町村が増えているようだ。

【携帯電話を購入した販売店で回収】

 スマートフォンや携帯電話などに使われているリチウムイオン電池はドコモやソフトバンク、auなど、それぞれのキャリアの販売店で回収する仕組みが確立している。