
「投資の神様」として知られるウォーレン・バフェットでも、過去には大きなミスを犯したことがある。彼はどのように企業を評価し、投資先を定めているのか。長年に渡って彼の投資手法を身近に見てきた一番弟子が解説する。※本稿は、メアリー・バフェット著、デビッド・クラーク著、峯村利哉訳『新・バフェットの教訓 時代の激流を味方にする135の流儀』(徳間書店)の一部を抜粋・編集したものです。
バークシャー株の1.6%を
つぎこんだ「最悪の取引」
ボビー・ベアのカントリーソングの一節が、
企業買収で頻繁に起きうる出来事を説明してくれる。
“不細工な女と寝たことなんて一度もないけど、
起きたら横にいたことなら何度かあるぜ”
ウォーレン・バフェットは投資家人生の中で何度かミスを犯してきた。最悪のミス候補のひとつは、1993年、4億3300万ドル相当の〈バークシャー〉(編集部注/バークシャー・ハサウェイ:ウォーレン・バフェットが会長を務める、投資ファンド)株で〈デクスター製靴〉を買収した件である。当時の〈デクスター〉は素晴らしい会社に見えており、ウォーレンが「製靴業みたいなビジネスはほかにない」と礼賛するほどだった。
〈デクスター〉の米国製高級シューズには愛好者の集団が形成され、ブランドに対する顧客忠誠のようなものができあがっていた。また、靴は必需品中の必需品だ。米国では1年間に10億足の靴が売れ、それらはやがて磨り減るため、人々は新品を買いつづけなければならない。