「私は友人が361人もいる人間です」忙しい人でも読みたくなる“生々しい文章”の書き方
「1つに絞るから、いちばん伝わる」
戦略コンサル、シリコンバレーの経営者、MBAホルダーetc、結果を出す人たちは何をやっているのか?
答えは、「伝える内容を1つに絞り込み、1メッセージで伝え、人を動かす」こと。
本連載は、プレゼン、会議、資料作成、面接、フィードバックなど、あらゆるビジネスシーンで一生役立つ「究極にシンプルな伝え方」の技術を解説するものだ。
世界最高峰のビジネススクール、INSEADでMBAを取得し、戦略コンサルのA.T.カーニーで活躍。現在は事業会社のCSO(最高戦略責任者)やCEO特別補佐を歴任しながら、大学教授という立場でも幅広く活躍する杉野幹人氏が語る。新刊『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』の著者でもある。

「私は友人が361人もいる人間です」忙しい人でも読みたくなる“生々しい文章”の書き方Photo: Adobe Stock

忙しい人でも読みたくなる「生々しい文章」とは?

 これまでのコンサルや経営の仕事でも、そして、大学教員として学生の就活の相談に乗っていても、学生のエントリーシートを見ることがある。

 志望動機、ガクチカ、自己PR、ケースでの質問、いろいろな欄がある。

 なかには最初に全体で伝えたいことを、1メッセージで書いてからそれにちなんだ詳細を書く人もいる。

 読む方からすると、いきなりベタ書きで書かれているものよりも、1メッセージが最初にあると読みやすい。

「わたしは友人が多い人間です」という1メッセージは印象に残るか

 たとえば、エントリーシートの最初の一文が次のような1メッセージだったとする。

「わたしは友人が多い人間です」

 エントリーシートの自己紹介や自己PRで、協調性や社交性をアピールするのは一つのパターンだ。企業に入って組織やチームで働く以上は、協調性や社交性は求められるからだ。

 この例では、社交性や協調性をストレートにアピールせずに、変化球として、それを「友人の多さ」で表現している。

 企業の採用担当者は、社交性や協調性をストレートにアピールしてくるエントリーシートには飽きていたりするので、友人の多さという変化球は、悪くはないだろう。それも、最初に1メッセージで書かれているので、なにを伝えたいのかがわかりやすい。

 しかし、これでは、まだ通らないだろう。生々しさがないからだ。一瞬では、イメージできないのだ。

 採用担当者は、一日に約100件ものエントリーシートを読むこともある。一つのエントリーシートに目を通せるのは、一瞬だ。

 一瞬しか目を通されないエントリーシートで、生々しくない言葉で伝えても、相手には印象が残らないのだ。

1メッセージに数字を入れると、生々しさがアップする

 では、どうするとよいか。

 エントリーシートのような、一瞬で印象を残さなくてはいけない場面の1メッセージでは、数字を使うのがよい。特に、副詞や形容詞があれば、それらを数字に置き換えてみるのだ。

 たとえば、さきほどの1メッセージであれば「友人が多い」の「多い」を数字に置き換える。次のようになる。

「わたしは友人が361人もいる人間です」

 こう書かれると、エントリーシートを読んだ採用担当者には、印象が残るだろう。361人とピンポイントで言われたことで、一瞬で、頭の中で量を具体的にイメージができるからだ。

 ちなみに、このときに、この361人などの数字が多いか少ないかは、問題ではない。

 たとえば、次のように言った場合を考えればわかる。

「わたしは友人が13人もいる人間です」

 このケースでは、採用担当者は感覚的に「少ないな」と思いつつも、「でも、その13人はどんな人だろう。それを『13人も』とアピールするのはどんな背景や価値観からだろう」と瞬間的に関心を持て、印象に残るだろう。結果として、話しを聞いてみたいと思われて、面接に呼ばれるかもしれない。

 数字は一瞬で生々しさを生み出せるので、一瞬で伝える1メッセージでは有効だ。

 エントリーシートの1メッセージでは、迷ったら数字を入れよう。

 1メッセージでは、たかが数字、されど数字なのだ。

(本原稿は『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』を一部抜粋・加筆したものです)