「心の赴くまま好きなことをやる」
という働き方は、成功しない可能性が高い
ごはんを食べるための仕事「ライスワーク」(Rice-Work)と、自分のやりたいことの活動「ライフワーク」(Life-Work)がありますが、これが合致するのは稀(まれ)な人で、基本的には分けて考えたほうがいいと思っています。
一般的にはライフワークは素晴らしくて、ライスワークは下世話なイメージですよね。でも私はどちらも重要だと考えていて、特に日本ではライスワークに関して「戦略的に取り組む」ことが苦手な傾向にあると思います。
どちらかというと、ライスワークもライフワークも区別せず、「心の赴くまま、好きなことをやれるまでやる。そうすればきっとうまくいくんだ」という、情緒的でモチベーションに頼る生き方ですよね。そしてこれは時々成功します。ですから必ずしもダメとはいえませんが、でも確率としては当たらない可能性のほうが高い。だから入社1年目からでも戦略的に考えることが必要なのです。
自分に向いているかどうかだけでなく、自分には何ができるのか、どこを磨けば武器になりそうか、それがライスワークであるなら世間のニーズと合っているのか。いくら特化されたものでも、買ってくれるお客さんがいなければ厳しいですし、しかもどこに出向くか(仕掛けるか)によって値段も変わってくるでしょう。
“世間”に惑わされると
何のために生きているのかわからなくなる
この時、他者評価、つまりクライアント評価が必要になってきます。
自分のやりたいことに取り組むライフワークに対し、ライスワークは誰がお客さんかをはっきりさせ、その人を喜ばせるために取り組む。これはいい。
ただライスワークでは、このほかに漠然と「世間の評価を受けたい」などというような気持ちが起きたりします。権力や影響力を含め、本来は「評価」ではないものなのに、何だか心地よくてそれを求めてしまう。お客さんを喜ばせる(ライスワーク)、もしくは自分を喜ばせる(ライフワーク)ことの間にある、プライドの世界。ここは、できる限り削ぎ落としていくことが大事だと思います。