
オリンピックに3大会連続で出場し、男子400mハードルの日本記録保持者である為末大さん。8歳の時に陸上を始めてすぐに頭角を現すと、中学時代には陸上の花形種目である100m走、
人生は面白い。希望が叶わなくても
結局「これで良かった」と思うことがある
大学生はこれから就活の内定が出る頃でしょうか。12年前に出版した私の著書『諦める力<勝てないのは努力が足りないからじゃない>』(プレジデント社)では、「いい会社」から内定をもらえなくて意気消沈している大学生に向けて、こんなメッセージを記しています。
<あなたが就職した先に描いている大きな目的はなんだろう。それはランキング上位の会社に入らないと実現できないことなのか>と。
今日はそこからもう少し進んで、いざ入社し、でも自分が希望した部署に行けなかったり、仕事が向いていないんじゃないかと悩んでいる若手社員にメッセージを送りたいと思います。
「希望通りの人生」に、二つ条件をつけるとしたら、ひとつは「こうなりたい」という希望をもっていること。もうひとつはその希望に「沿っている」ということが必要ですよね。そして胸の内に“希望通りではない”という葛藤がある人は「こうなりたいがあるのに、そこからずれている」ことに悩んでいるはず。
でも人生って面白いことに「希望通りじゃない」はずだったのが、結局「これで良かった」と思うことが起きたりします。
まずは自分が思う「なりたいイメージ」をもう少し要素分解してみましょう。すると必ずしも今思い描く「職業、部署そのもの」というより、もう少し抽象的なところが本来の希望ではないでしょうか。例えば自分の想像力を生かしたい、チームで取り組む仕事がしたいなどの思いが根底にあって、その延長線上に、希望する仕事があるはずなのです。