なぜ真面目な人ほど空回り?“対策しすぎ”が招く悲劇的な結末
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で元気が湧き出る言葉』(ダイヤモンド社)など、累計33万部を突破した人気シリーズの原点、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)です。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。

「対策しすぎ」ていませんか?
今日は「たいていのことは対策しすぎている」というテーマでお届けしたいと思います。
世の中では、何か問題やうまくいかないことがあると、それを過剰に取り上げてしまう傾向がないでしょうか。本当はたまたま起きたことや、偶然の出来事で気にする必要がないことなのに、それを大事のように扱い、会議を開いて対策を立てるなど、過剰に反応してしまうのです。
その結果、問題がなかったはずのところに、問題が生じているかのように扱われたり、対策そのものがかえって問題を引き起こしたり、あるいは頑張って立てた対策が全くの無関係だったり、といった事象が意外に多いのではないかと最近感じています。
なぜ過剰に反応してしまうのか?
簡単に言えば、多くの人が真面目すぎるからこそ、こうしたことが起こるのです。
何かうまくいかないことや、たまたま良くない出来事が起こると、「本当にこれは良くないことなのか」「この現象は実際に起きているのか」といった検証をワンクッション置くべきです。物事には偶然の「揺らぎ」のようなものがあり、長期的な視点で本当に悪化しているのかを判断する必要があります。
しかし、特にネガティブなことに関しては、人は不安になりやすいため、そのワンクッションを置かずに「ネガティブな数字が出たから問題だ!」「何が起きているんだ!」とすぐに行動に移してしまいがち。その結果、対策のしすぎでがんじがらめになり、かえって状況を悪化させているケースも少なくありません。
「やりすぎた対策」がもたらす悪影響
もちろん、安全対策のように、一度でも起きてしまうと取り返しがつかない人命に関わるようなことであれば、徹底した対策が必要です。
しかし、そうではない事柄に関しては、ある程度様子を見たり、本当にネガティブな事象が起きているのかをきちんと検証してから物事を進めたりするほうが、結果的に良い方向へ進むことが多いのではないでしょうか。
「これは明らかにまずい状況だ」と誰もが思うようなことでない限りは、慌てて対策する必要はないのかもしれません。
不安な時こそ立ち止まる勇気を
特に、不安になりやすい人は注意が必要です。不安感が強い人ほど、物事に対して対策をしすぎてしまう傾向があるからです。
そういう人にはぜひ、「自分は対策しすぎではないか?」という視点を常に持っていただきたいと思います。もしご自身ですべてを判断してしまうことが多いのであれば、一度周りの人に意見を聞いてみたり、さまざまな情報を集めてみたりすることをオススメします。
そうすると、「あなたが今、状況がすごく悪くなったと言っているけれど、それは前回がたまたま良すぎただけだよ。その前はずっとうまくいっていたでしょう」といった客観的な意見をもらえ、冷静になれることもあります。
私の失敗談:フォロワー数に一喜一憂していた頃
私自身も不安を感じやすい性格なので、つい情報を集めてしまいます。しかし、情報を集めてみると「やはり気にしすぎだったな」と感じることのほうがほとんどで、「あの時、余計なことをしなくてよかった」と思うことばかりです。
以前、私がある発信をしていた時、フォロワーの増減が気になって仕方がなかった時期がありました。フォロワーが減ると、「この発信内容が原因だろうか」と考え、フォロワーが離脱しないようにと、一生懸命に対策を施していました。
しかし、どんなに頑張って対策をしても、逆にフォロワーが減ってしまうこともあり、「このやり方は求められていないのかもしれない」などと、深く悩んだこともあったのです。
ほとんどのことは気にせず、そのままで大丈夫
ところが最近、そのことをすっかり忘れて、何も対策をせずに放置していたのです。すると、ごく自然にフォロワーが増えていました。おそらく、私の小手先の対策はほとんど関係なかったのでしょう。
もしあの時、目先の反応に囚われて、ああでもないこうでもないとやりすぎていたら、後で引っ込みがつかなくなったり、必要のない疲れを溜め込んだりしていたはずです。この経験から、ほとんどのことは気にせず、そのままで大丈夫なのだと改めて感じました。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。