なぜ「嫌われたほうがいい」のか?
面倒な人との最も良い関わり方は、「関わらないこと」に尽きます。そう考えると、面倒な人だと思ったら、むしろ嫌われたほうが今後のためには良いのです。
私自身、以前は面倒な人を見かけると、つい優しくしてしまい、変なトラブルに巻き込まれてしまうという悪い癖がありました。それだと面倒な人が自然と寄ってきてしまうのです。これではいけないと思い、最近は「面倒だな」と感じたら、それを隠さずに態度に出すようにしています。
最初から深入りしない対応がいい
もともと嘘をつくのが苦手なので、以前は表情に出てしまうのを無理に隠したり、言葉で優しく取り繕ったりしていました。しかし今は、下手な演技はやめて、おかしなことを言われたら少し黙り込んだり、「え?」と素直な反応を返したりするようにしています。
このような素直な態度をとっていると、面倒な人はあまり近寄ってこなくなります。もちろん、その人が私の悪口を言うこともあるでしょう。しかし、もともと深く関わっていない相手ですから、その人が親しい人に何を言ったとしても、こちらにはほとんど影響はありません。「まあ、いいか」と思えるのです。
中途半端に良い顔をして仲良くなってしまうと、いつの間にか相手のグループに取り込まれ、そこから嫌われると村八分にされるなど、ダメージが大きくなります。しかし、最初から深入りさえしなければ、そのような大事には至りません。
少女漫画の「あの人を怒らせてはダメ」は間違い
少女漫画などで、転校してきた主人公に対し、友人が「あの学校のボス的な人は怒らせちゃダメよ」と忠告するシーンがあります。しかし、あれは間違いなのです。怒らせても構いませんし、機嫌を損ねても問題ありません。
漫画では、主人公が「そんなの納得いかない!」と立ち向かって、すぐに対立する展開になりがち。しかし、現実世界では違います。面倒な人に対して、少しそっけない態度をとると、相手は「この人は自分のグループには入らないな」と判断し、自然と離れていってくれます。これがお互いにとって最も幸せな形です。
面倒な人は、基本的に自分の言うことを聞いてくれる人を周りに置きたがります。こちらが「面倒だな」と思っているのと同じように、相手にも「こいつも面倒なやつだな」と思ってもらうくらいが、一番平和なのです。
こじれる前に、最初の対応で深入りを避ける
結論として、「面倒な人だ」と感じたら、本能的に「嫌われないようにしよう」と動きがちですが、それをしないことが非常に重要です。最初の段階での対応がすべてを決めます。
一度や二度そっけない態度をとっただけでは伝わらないかもしれませんが、何度か繰り返せば相手も察してくれます。深く関わってしまい、我慢の限界がきてから対立する方が、よほど厄介な事態になるのです。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。