個人投資家の間で大きな支持を集めるのが『株トレ』シリーズです。シリーズ第2弾の『株トレ ファンダメンタルズ編』では、60題のクイズを通じて「業績や財務の読み方」を学べます。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之氏。本稿では、窪田氏に「株式投資のセンスを磨くクイズ」を出題してもらいました。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

業績の数字から、ビジネスの変化を想像する
単純に増収増益なら「買い」、減収減益なら「売り」と判断していませんか?
損益計算書には、その会社の将来を予想するためのヒントが隠されています。
数字をただ追うのではなく、そこから「その会社で、どんな変化が起きているのか?」を想像することが重要です。
そのトレーニングとして、次のクイズに挑戦してみてください。
株のセンスを磨くクイズに挑戦!
A社とB社の過去4年間の業績が出ています。
A社とB社、収益基盤が改善しているのはどっち?

ヒント:利益率の変化に注目する
単に増収増益か減収減益かを見るだけではなく、利益率の推移に注目することが重要です。
正解は…
収益基盤が改善しているのはA社です。
A社は、減収減益の期間に、「筋肉質」な企業に生まれ変わった
A社の2022年から2024年の業績を見ると、減収減益が続いています。
しかし、この期間に営業利益率は着実に改善していました。
これは、不採算事業を整理するなど、収益力を高めるための構造改革を実施したためです。
一見ネガティブに見える減収減益の期間に、A社は無駄な贅肉を落とし、「筋肉質」な企業へと生まれ変わっていたのです。
その結果、2025年には増収・大幅増益を達成し、利益率もさらに向上しました。

B社は、増収増益の期間に、「メタボ体質」になっていた
一方、B社は2022年から2024年にかけて増収増益を続けています。
しかし、この期間に営業利益率は低下していました。
売上と利益は増えているものの、競争激化などで収益性が悪化していたのです。
売上拡大の陰で、B社は「メタボ体質」に変化していました。
その結果、2025年には減収・大幅減益に転じ、利益率はさらに落ち込みました。

収益基盤を確認して、投資判断をする
構造改革を通じて、事業を「筋肉質」に変え、V字回復を遂げる企業があります。
そういった企業にとって、減収減益の期間は、大きく飛躍する前に一度しゃがみ込み、力を溜めているようなものです。
過去の不採算事業を整理し、利益率の高い事業に集中することで、新たな成長の準備を整えます。
このような銘柄は、「買い」のチャンスです。増収増益、減収減益といった表面的な数字だけでなく、企業の利益率の変化にも、注目してみてください。