有給休暇の基本について、順を追って整理していきましょう。

有給休暇の目的とは
 有給休暇には法的な目的があります。それは、「労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図り、ゆとりある生活の実現に資するもの」です。

有給休暇は誰のもの
 有給休暇は、要件さえ満たせば当然に発生する労働者の権利です。「有給」なので、「労働したとみなされる日」になります。それでも、休暇をどのように利用するかは、会社の干渉を許さない、労働者の自由です。何に使うのも自由なので、どんな内容でも、会社は拒否できません。会社は、「何に使うかを報告しろ」と強制もできません。

有給休暇を取得する時季
 有給休暇を取得する時季は、労働者が指定します。会社は指定された日に与えなければなりません。会社が、「この日にして」とか「来週に変えて」とは言えないのです。ただし例外的に、労働者が指定した日に与えると事業の正常な運営ができなくなると判断された場合のみ、会社に時季を変更する権利が発生することもあります。

有給休暇の要件と日数
 有給休暇は法律上、全労働日の8割以上出勤していた場合に付与されます(発生要件)。日数は、労働者の働き方と勤続期間によって下記のように定められています。

 上記は法令のラインであり、これを上回る措置のある会社も多いです。会社側は、日数が10日を超える有給休暇を取得できる労働者には、1年間に必ず5日は取得させなければいけない義務があります。

 なお出勤率の算出は、出勤できないことに一定の理由がある場合(業務上のけがや育児介護など)は出勤したものとして扱います。欠勤が多い場合や、私的な傷病で休業している場合は出勤率を満たせず付与されないケースもあります。

 さて、このように整理して考えると、「有給休暇は自分の好きな時に好きなだけ使っていい」ということになります。冒頭に紹介したSNS上での議論、「有休20日間取得する人」は全く問題ありません。さらに言えば有給休暇は2年間保持できるので、休日も含め連続2カ月近く休むことも理論上は可能です。