属人化を脱すると、人と日付の紐づけは大幅に省力化されます。その他、採用を強化する、外注する、部署間の似た作業を統一し工数を減らす、AI技術を導入し単純作業を省人化するなど運用次第で解消できる部分はあります。
「子持ち様が……」陰鬱な空気を払拭するには
例えば、引継ぎもせず長期の有給休暇を取得することは理論上可能です。しかし、事業を正常に行うために、休んだ人の仕事を代わりに急遽、行っている人が必ず存在します。つまり、業務配分の問題の他に、「職場の人間関係」の問題が残ります。人の感情を軽視して、業務の連続性やチームのパフォーマンスを保つことは困難です。法律とは別に、一定のモラルが組織では必要になります。
もし、あなたが長期の有給休暇を取得予定であれば、前もって報連相する、同僚と休みが被らないよう調整する、すでに休んでいる人の仕事を引き受けるなどが、職場のモラル向上につながるでしょう。
また、自身や家族の病気や介護など、突発的な休みは必ず発生します。その時こそ、このモラルが効果を発揮します。筆者の話になりますが、子どもの体調不良で1カ月ほど出社できなかった時期、「また休み?子持ち様が……」といった陰鬱な空気は流れなかったと同僚から聞いています。
これは、周囲のチームパフォーマンスの考え方と受容、そして自身の日々の調整力だったと振り返ります。そしてこの時の感謝から、休んでいる人の仕事を率先して行う姿勢も身につきました。突発的な休みであっても、そこに至るまでの過程で溜飲が下がるコミュニケーションがあるのです。
会社と労働者は相対するものではなく、効率性や働きやすさを求めて同じ方向に向かっているといえます。制度や風土、意識を再考し互いにWin-Winな有給休暇の取得を目指しましょう。
