マインドフルネスで
雑念や悩みから解放

 現在では、マインドフルネスは瞑想や呼吸法などにより「今この瞬間」に注意を向け、今この瞬間に起きていることを判断せずに観察する心の状態とされ、日常の雑念やストレスから解放されるためのスキルとして用いられています。

 さらに、多くの研究によって、マインドフルネスがDMNの活動を低下させることが示されており、脳を休ませる方法としても有効であることがわかっています。

 先ほど、家で休んでいるだけでは悩みの脳の回路(DMN)は休まらないと書きました。それでは、悩み事について考えないようにして、DMNを落ち着かせることは可能なのでしょうか。

 悩みを考えることを意識的に止めようとしても、それ自体が逆効果になることは経験的に理解できるでしょう。「悩みを考えないようにしよう」と意識することで、かえってその悩みに注意が向いてしまい、結果としてDMNは活性化し続けてしまいます。

 つまり、「悩まないようにする」という考え方では、悩みから抜け出すことは難しいのです。

 そこで有効なのが、マインドフルネスの考え方を応用することです。

 マインドフルネスでは、瞑想や呼吸などに意識を集中させることで、頭の中に浮かぶ雑念や悩みから注意を逸らします。

 これは、悩みを「考えないようにする」のではなく、「別のことに意識を向ける」ことで結果的に悩みの脳の回路を休ませるアプローチです。

 それでは、悩みの脳の回路を休ませるために、具体的に何をするかを考えていきましょう。

 まずは運動です。身体を動かすことは健康によいことだと昔から認識されていますが、それは身体だけでなく、メンタルヘルスにもいい影響を与えることができます。

 ただし、メンタルヘルスにいい影響を与えるためにはどの運動でもいいわけではありません。先ほどの「悩みとは別のことに注意を向ける」観点から考える必要があります。

 例えば、散歩や軽いジョギングをしていると、身体にはいい影響を与えますが、頭の中ではさまざまなことを考える余地があります。そのため、悩みの脳の回路(DMN)が休んでいるとは言えません。

 それでは100%注意を向けることのできる運動とは何でしょうか。

 それは2つあり、1つ目は主に球技です。