あなたも、ゆっくり休んでいるつもりでも、気づいたら悩みの原因になっている仕事や人が頭に思い浮かび、しばらくそのことを考えてしまったという経験があるのではないでしょうか。
そして、それに気づいて「ダメだ、ダメだ」と思い、違うことを考えようと思っても、またその悩みについて考え込んでしまっていたことがあるでしょう。
それはDMNがずっと薄く働いており、何かの小さなきっかけで悩み事を思い出してDMNが活性化しているのです。
答えのない悩み事を考え続けてしまうことを心理学の用語で「反芻思考」と言いますが、一般的には「グルグル思考」とも言います。
家で座っていても身体は休めているかもしれませんが、グルグル同じことを考え続けて脳が疲れてしまう。つまりせっかくの休日に、脳が休んでいるどころか逆に消耗し、疲れてしまうのです。
紀元前に考えられた
悩みがちな人の休み方
それでは、悩みの脳のネットワーク(DMN)を休ませるためには、どうすればいいのでしょうか。そのヒントがマインドフルネスにありますので、ここでマインドフルネスについてご紹介させてください。
マインドフルネスの起源は、仏教の八正道(仏教における修行の道であり、苦しみを克服し、悟りに至るための具体的な実践法)の1つである「正念(sati)」であり、これは「気づき」や「覚醒した注意」を意味します。
正念は、修行者が心の静寂と洞察を得るための重要な実践とされ、瞑想(心を静めて意識を整え、内面に集中する。仏教では瞑想は重要な修行の1つであり、悟りへの道を歩むための手段として古くから行われている)や、日常生活の中での心の在り方として取り入れられました。
そして20世紀後半には、ジョン・カバットジン(現代のマインドフルネス運動を牽引したアメリカの医学者)により、マインドフルネスが医学的および科学的なアプローチとして紹介されました。
カバットジンのプログラムは、慢性的な痛みやストレス、不安症、抑うつなどを抱える患者に対する治療法として効果を示し、マインドフルネスが科学的にも有効であることが実証されました。
これがきっかけで、マインドフルネスは西洋社会、特に医療や心理療法の分野で広く認知されるようになりました。