脳を休ませてくれる
集中力がいるスポーツ

 野球、サッカー、テニス、卓球、バドミントン、スカッシュ、ラグビーなどの球技を想像してみてください。プレー中に悩み事を考える余裕はあるでしょうか?

 ボールが飛んで来ている瞬間に、「80%はボールのこと、20%は人間関係の悩み」などと意識を分けることは、ほとんどの人にとって難しいはずです。プレーに集中している間は、注意がボールや試合の状況に100%向けられます。

 このように、球技を行うことでDMNを使わず脳を休ませることができるのです。

 2つ目は、強度の高い筋力トレーニングをすることです。軽いトレーニングでは考え事をする余裕がありますが、自分の限界に挑戦するような筋トレではどうでしょうか?

 例えば、持ち上げられる最大の重量に挑戦したり、限界回数まで追い込んだりすると、他のことを考えている余裕はなくなります。むしろ、集中しなければケガのリスクがあるため、本能的にトレーニングに100%没頭します。

 たとえ15~30分程度でもこのような運動をすることにより、いったんDMNの部位の脳を休ませることができます。その結果、「身体は疲れたけれども頭はスッキリした」状態を作ることができるのです。

 次にお勧めするのは音楽です。音楽もまた、100%の集中を促す活動の一つです。

 例えば、ピアノやバイオリン、ギター、ドラムを演奏する場合や、歌を歌う場合、自分の技術を発揮するには高い集中力が求められます。

 逆に、他のことに意識がとらわれていれば、満足のいく演奏ができないことは、経験者であれば実感していることでしょう。

 さらに、音楽を演奏することは、最初は集中しにくくても、時間が経つにつれて徐々に集中が深まっていくものです。演奏を続けることで、集中に関する脳の回路(CEN:セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク)が活性化され、それによりDMNが抑制される効果が生まれます。

 また音楽を聴く時にも、好きな曲にのめり込んで聴くことで注意を向ける回路が働き、DMNの活動が抑制されることは想像しやすいでしょう。

 一方で、リラックスできる音楽を聴く場合は、脳全体の興奮が抑えられ、ストレスや心配事への思考が減少します。この時、DMNは一部活性化しつつも、全体としては落ち着いたバランスが保たれます。