
仕事がうまく回らない、何をするにも億劫…心に影が落ちたとき、つい自分ひとりで抱え込んでいないだろうか。産業医として多くのビジネスパーソンと接してきた吉田英司氏は、まわりを頼る力こそが折れずに働き続けるための「本当の強さ」だと語る。その理由とは?※本稿は、吉田英司『一生健康に働くための心とカラダの守り方』(かんき出版)の一部を抜粋・編集したものです。
仕事ができる人間は
弱みを見せられる
自分の弱い部分を他人に見せることができず、相談するのが苦手な特性の人は少なくありません。私が見てきた中でも、決して珍しいことではなく、多かれ少なかれ誰にでもそうした傾向はあるでしょう。
しかし、仕事ができるタイプの人は、適切に自分の弱みを見せられる、悩みを相談できる人たちでした。これは、自分1人でできることには限界があり、多くの人の力や知見を借りたほうが、よりよい仕事ができると理解しているからだと思います。
さらに、彼らは「自分がどう見られるか」よりも「仕事のアウトプットの質」にプライドを持っています。そのため、周囲に助けを求めることに躊躇せず、必要な時に適切に自己開示ができるのです。
一方で、うまく仕事が進められない人や、メンタルヘルス不調に陥るまで仕事で追い詰められる人には、「自分だけの力でなんとかしようとする」傾向があります。
彼らの考えの根本には「誰かに頼るなんてみっともない」「こんなこともできないなんて、バカだと思われるのではないか」といった、自分の評価に対する強いこだわりがあります。