1994年の北米国際自動車ショーでコンセプトモデルが公開され、1998年に市販モデルが登場。日本では1999年から販売がスタートしました。弧を描くルーフや大きく張り出したフェンダー、前方に大きく傾斜したボンネットなど、Type1のアイデンティティを見事に再現。しかも驚いたのは、リアエンジンリア駆動であるType1ならではのスタイルを、FFであるゴルフ4のプラットフォームを使って再現していたこと。これ、デザイナーはもちろん、エンジニアも相当苦労したはずです。

 その影響は室内空間に出ていて、ダッシュボードがワンモーションフォルムのミニバン並に長くなっていました、でも今思うとそれがニュービートルのひとつのアイデンティティにもなっていました。

ニュービートルのインテリア(広報写真)ニュービートルのインテリア(広報写真)

BMWもミニをよみがえらせている

 90年代後半から2000年代には、他にも歴史的な名車をモチーフにしたモデルが登場しました。それが「ミニ」と「フィアット 500」です。

 1959年に登場したMINIは製造会社を変えながらも生産が続き、1994年にはBMWがローバーを傘下に収めました。BMWがMINIを現代流にアレンジしたのがここでご紹介する「ミニ」。

BMW傘下でよみがえった、新生ミニ(広報写真)BMW傘下でよみがえった、新生ミニ(広報写真)

 ミニはその後、単なるひとつのモデルではなくブランドにまで成長しました。ハッチバックとコンバーチブルだけでなく、ワゴンのクラブマンやSUVのクロスオーバー(現・カントリーマン)、さらにはクーペやロードスターなど、さまざまなバリエーションが登場しました。

「ミニなのにデカい」などと言われることも多いものの、どのモデルもミニとしての存在感をしっかり打ち出しているのがすごい。これは第4世代となる現行型にまで受け継がれています。

NUOVA500を復活させたのが「フィアット500」

 フィアットが2007年に発表し、日本では2008年に発売された500(チンクエチェント)。1957年に登場した「NUOVA 500」をモチーフにした愛らしいデザインが世界中で高く評価され、日本でもヒットモデルとなりました。専用のボディカラーやインテリアデザインの限定車も数多く登場していたので、気に入った限定車を中古で探すのが楽しいモデルです。

フィアット500(広報写真)フィアット500(広報写真)

 いつの時代も懐かしさを感じさせるレトロデザインは一定の支持を得るもの。上記3モデルは歴史的名車をオマージュしたモデルですが、日本でも軽自動車やコンパクトカーなどで、懐かしさを感じさせるモデルがありますよね。このようなクルマが増えると、人々が笑顔になって街が明るくなる気がします。

 そこにID. Buzzのような先進性も加わると、これまでにない楽しさを感じます。ID. Buzzを運転しているとき、信号待ちの時などにやたらと写真を撮られたのも、人々の笑顔の現れだと思いました。

(AD高橋)