F:今の話を伺うと、Type2は“プロダクトの性能”以上に“使い方の自由度”で評価されたんですね。
沢:おっしゃる通りで、Type2が特別だったのは、いろいろな使われ方をされてきたクルマであり、それが文化にまでなったクルマだった。そういうことだと思うんです。
F:なるほどなるほど。いやとてもよく分かりました。
なぜフォルクスワーゲンの商用車部門が造っているのか?
F:ID. Buzzはフォルクスワーゲン・コマーシャル・ビークルズ(VWCV)の製造車と聞きました。どういう流れでそうなったのでしょうか。
沢:フォルクスワーゲンは社内で「パッセンジャーズカーズ」(Passenger Cars、乗用車)と「コマーシャル・ビークルズ」(Commercial Vehicles、商用車=VWCV)に分かれています。歴史でいうと、Type2(のちの「Tシリーズ」)は誕生時から“人と荷物を運ぶトランスポーター”として扱われ、製造と商品系譜の管理は長らくハノーファーの商用系が担ってきました。90年代半ばにVWCVがブランドとして立ち上がり、違う会社になるまでは、フォルクスワーゲン本社で作っていたそうです。
F:90年代半ば。分社化したのは割と最近の話なんですね。
沢:とはいえもう30年です。
F:30年。そう言われると結構な年数ですね。
沢:いまお話ししたとおり、コマーシャルビークルズでは基本的に商用車を作っています。キャディという商用のバン。それと、今はマルチバンと呼んでいる、Type2の後継というか、源流を汲んでいるクルマですね。
F:バナゴンとか?あれはもう日本にはないですよね。
沢:そうです。世代によってバナゴンとも呼ばれますね。あれは7世代あるんですよ。T1から始まって、T7まであるんです(編注:T1~T2については、前回の後ヨタでAD高橋氏が詳しく紹介しています)。