千代田区の伝統女子校

 ここからは女子校を見ていこう。東京・千代田区には女子の伝統校がひしめいている。今回の新校長で、一番の話題となっているのが三輪田学園だろう。理事長と校長が同時に交代した。創立家の三輪田勉氏から20 16年に理事長を引き継ぎ、校長職も兼ねた和装の吉田珠美氏、21年に交代した前任の塩見牧雄氏(立教新座の校長に就任)からの学園の勢いを保つことができるかが問われる。

 新校長の加納克哉氏は、26歳から本校ひと筋の国語科教員。キャリアの半分以上を高校の担任と専従の進路指導担当として過ごしたこともあり、生徒一人ひとりの「納得進学」に留意しつつ、教育理念「徳才兼備」に現代的なブラッシュアップを加えようとしている。新理事長の湯原弘子氏は、英語科教員だった本校OG。高校教頭からの就任となった。

 大妻は、地歴科(世界史)の赤塚宏子氏が教頭、副校長からの昇格となった。3年で離任する前任の梶取弘昌氏は男子校である武蔵の卒業生にして東京藝術大学音楽学部声楽科卒の元校長、その前任の成島由美氏は5年間校長を務めた後、古巣のベネッセコーポレーション取締役となり、この4月からは学校法人大妻学院常務理事・キャリア教育センター所長に就いている。

 共立女子は、理科(生物)教員の景山誠氏が副校長から昇格した。前任の前田好子氏は初めて母校の校長となった同校OGである。和洋九段女子は、前校長である中込真氏からの指名で、社会科教員である水野修(しゅう)氏が主幹教諭からの大抜擢となった。

 麹町学園女子は、外部からの校長招聘が3代続いている。新校長の大久保靖氏は、21年から6年間、東京電機大学中学校・高等学校校長を務めていた。41年間世界史を教えてきた中国古代史の専門家でもある。前任の堀口千秋氏は、埼玉獨協の中学校設立にも関与、同校教頭から本校に移ったものの、再び現場に戻り、探究と理科教育を指導することに。その前任の山本三郎氏は帝塚山学院(大阪市住吉区)の校長から15年に転じていた。