卒業生から教員になって母校ひと筋も!男女別学中高一貫校のこれからを左右する2025年新校長の注目点【首都圏中学入試2026】若手の理事長と新校長のコンビで雰囲気が一変しそうな「城北」(東京・板橋区)

前回は首都圏と東京会場で入試を行う中高一貫共学校の事情を見たが、今回は男女別学校である。2025年に新しく就任した校長は、どのような経歴を経ているのか。注目の学校や意外なキャリアパスにも触れてみよう。(ダイヤモンド社教育情報)

卒業生や「ひと筋」が目立つ男子校

 前回は共学校の新校長人事についてお伝えした。今回は男女別学校を取り上げる。男子校から見ていこう。まずは早稲田大学高等学院(東京・練馬区)から。新しく学院長となったのは、博士号を持つ本木弘悌(ひろやす)氏。東京学芸大学の大学院を出た後、地歴科(地理)教諭として他の大学の付属校で教壇に立ち、2006年から本校に移った。10年の中学部立ち上げにも開設準備室副室長として関与した。早稲田大学教育・総合科学学術院の教育学部と大学院教育学研究科での客員教授も兼ねている。前任の早大理工学部と同大学院修了の情報学の専門家でもある武沢護氏も内部昇格で、神奈川県立高校の数学科教員を務めるなどした後、2003年から高等学院に移っている。やはり早大の教職大学院の客員教授も兼務していた。

 次に東京・文京区にある3校を見ていこう。獨協の新校長には、東京学芸大学出身で国語科教員の坂東広明氏が就任した。教頭、副校長を経ての内部昇格である。4年の任期を終えた前任の上田善彦氏は、本校と獨協医科大学のOBで獨協医科大学名誉教授。共学校の埼玉獨協と男子校の獨協という2つの付属校から獨協医大への内部推薦枠が10人となったが、その多くは獨協から進学している。前回の共学校でも見たように、最近は付属校であっても中高教員の内部昇格が一般的になってきている。

 京華と日本大学豊山では、卒業生が母校の教員となり、新校長に就任している。京華の新校長である中村圭吾氏は、中学教頭からの昇格。中高では陸上部に所属、部長も務め、卒業後も顧問を続けた。新卒で母校に赴任してから34年、うち教務主任の1年、教頭を4年務めての校長就任であり、京華ひと筋の“ミスター京華”といえる。16年から長く校長職を務めてきた前任の町田英幸氏も陸上部顧問だった。

 日本大学豊山では2代続けてのOB校長となっている。新校長の梅田髙司氏は日本大学理工学部物理学科卒業後、理科(物理)教員となり、教頭から昇格した。16年に校長となった前任の松井靖氏もOBで、日本大学習志野高等学校(千葉・船橋市)と日本大学高等学校・中学校(横浜市港北区)を経て、母校に戻っている。

 足立学園(東京・足立区)の瀬尾匡範(まさのり)新校長は、東京理科大学理学部出身の数学科教員で、足立学園ほぼひと筋。剣道部顧問を務め、高校副校長からの昇格となった。18年に就任した前任の井上実氏も数学科教員だった。

 今回注目したいのが城北(東京・板橋区)だ。14年から校長を務めてきた小俣力氏の後を継いだ清水団(だん)新校長は数学科教員。入試委員長や教頭を務めての就任となった。早稲田大学教育学部理学科数学専修から大学院理工学研究科(修士課程)で「数学教育へのコンピューター利用」をテーマに研究。同校のICT委員長として、ICTインフラの整備や教務のDX化を推進、教育の現場でもiPadをフル活用している。

 初代理事長と校長も兼ねた深井鑑一郎と2代理事長となった巴川製紙オーナー家で凸版印刷社長・会長も務めた井上源之丞が創立した城北学園だが、現理事長は源之丞の孫に当たる巴川コーポレーション社長の井上義雄氏である。50代前半に若返った新校長とコンビを組むことで、理系に強い城北としての新たな魅力を発信できそうだ。

 武相(横浜市港北区)では、一昨年校長に就任した創立者の孫である石野雅子氏の体調を考慮しての交代となった。新校長の田中徳孝氏は同校卒業生で、日本体育大学から母校の体育科教員ひと筋の“ミスター武相”でもある。

 立教新座(埼玉・新座市)は、東京学芸大学出身で社会科教員の塩見牧雄氏が新たな校長となった。1999年三輪田学園に入り、入試広報部長、中学教頭を経て、2021年から理事長兼校長として学園の人気上昇に大きく寄与した。それだけに、今回の男子校への転身にはさまざまな臆測が飛んでいるようだ。