負債額トップは、脱毛サロンの倒産としては過去最大の規模となった「MPH」(東京、破産)の260億円。同社は、全国に直営167店舗を展開していた美容脱毛サロン「ミュゼプラチナム」の運営会社だったが、今年5月に元従業員などから破産を申し立てられ、120万人を超える前代未聞の多数の債権者を抱え、8月18日に破産手続き開始決定を受けた。

 8月の「人手不足倒産」は34件(前年同月22件)が判明し、3カ月連続で前年を上回った。業種別にみると、『サービス業』が11件で最多となり、『運輸・通信業』が9件、『製造業』が6件で続いた。2025年1~8月の累計は285件と前年同期(235件)を50件上回っており、過去最多ペースで推移している。

 また、8月の「物価高倒産」は76件(前年同月64件)判明し、2カ月ぶりに前年同月を上回った。業種別にみると、『建設業』が20件で最多となり、『小売業』が17件、『製造業』が11件で続いた。2025年1~8月の累計は615件となり、前年同期(646件)を4.8%下回ったが、依然として高水準で推移している。

「美容業」の倒産件数は
2年連続で最多を更新

「人手不足」と「物価高」の影響を大きく受けている業種のひとつに、「美容業(美容院)」が挙げられる。2025年1ー8月に発生した美容業(美容室)経営業者の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は157件発生した。年間で最多だった前年同期(139件)を上回り、3年連続で前年比増加となるほか、年間合計でも2年連続で最多を更新する可能性が高まっている。

 美容室業界はこれまで、大手チェーンの台頭や低価格のカット専門店、個人サロンなどの新規参入が相次ぎ、同業者間の競争が激化していた。美容資材の値上げや水道光熱費、テナント料などの各種の「物価高」の影響に加え、スタイリストなどの「人手不足」といった経営課題に直面し、経営体力の乏しい事業者の倒産が目立つ。