個人レベル、企業レベルでの情報管理を徹底し、怪しい行動には慎重に対処する。この積み重ねこそが、日本をスパイ天国ではなく、「警戒心の強い社会」へと変える第一歩になるのです。これから具体的にお伝えしていきます。
インバウンドで加速する「チャイナリスク」
日本では近年、インバウンドの拡大により海外からの訪問者が急増しています。それ自体は経済活性化の要素として歓迎されるべき現象ですが、公安の視点から見ると、「スパイ天国」といわれてきた日本に、さらに多くの“見えない来訪者”が入り込むリスクも拡大しているといえます。
観光地で外国人と“偶然”出会い、軽く情報交換をしてしまう。外国人旅行者の中には、単なる観光客を装って行動する情報工作員も存在します。そうした何気ないやり取りの中で、スパイから情報を抜き取られることがあるのです。これは想像ではなく、事実として過去にも多数確認されてきました。
特に私が強く警戒しているのが、やはり「チャイナリスク」です。
中国は、ロシアや北朝鮮と並ぶ諜報活動の主要プレイヤーですが、日本においては特に突出した脅威であると考えています。
その理由はいくつかありますが、まず第一に、「外見的に日本人と非常に似ている」という点が挙げられます。中国人でありながら、見た目ではまったく見分けがつかない。
そして、日本には中国籍のまま日本に生まれた二世・三世や、帰化した方々が多く存在しています。その中には、現在は日本国籍を有していながら、なお中国のために活動している人もいるのです。
中国のスパイ活動は「数」と「巧妙さ」の両面で、他国を圧倒しています。ロシアも警戒すべき存在ですが、日本国内におけるコミュニティーの規模や活動人数では、中国が圧倒的多数です。中国はとにかく「何でも欲しい」のです。