成長を引き出すために必要な「一貫性」
「認める」→「ほめる」の順序とバランスが大切

 部下の成長を支えるのに大切なのは、「認める」姿勢を一貫して持ち続けることです。いつも部下を見て、認めている上司だからこそ、時に厳しい指摘も「自分のためだ」と部下は受け止められます。逆に、普段は無関心なのに急に叱ると、それはただの否定、ハラスメントとして伝わってしまいます。

 気を遣いすぎて言うべきことが言えなくなるのではなく、必要なことはしっかり伝える。そのうえで、プロセスや取り組みを丁寧に見て、適切に評価していく――。基本となるのは、まず相手の行動や存在を事実として「認める」こと。その上で、成果や姿勢に応じて「ほめる」という評価を乗せていく。この順序とバランスが、信頼と成長を育む対話の基本です。

 上司が認め、時にほめ、時に叱る。その全てに共通しているのは、「あなたを見ているよ」というメッセージです。こうした関係性の中でこそ、部下は安心して挑戦し、学び、成長していけるのです。

 リーダーに求められるのは、部下に好かれることではなく、育てること。自ら考え、行動できる“自律型人材”を育てるためには、上司自身が覚悟と一貫性を持って、日々の関わりに向き合う必要があります。

「ほめる」という安易な方法に逃げず、ときに摩擦を恐れず、必要なフィードバックを伝える。そのうえで、部下の姿勢や努力をしっかりと「認める」。そして適切なタイミングで「ほめる」。この順序とバランスを絶対に忘れないようにしましょう。

安東邦彦・ブレインマークス代表取締役