「店長に怒られる」が
口グセになっている
盛り付け作業が終わり、カレーもいい感じになってきたのでミホさんに確認し、火を止めます。
奥にいた店長から「そこの今日のカレーと昨日のカレーを○×※△……」と指示が飛びますが、正直、何を言っているのかわかりません。僕とミホさんで「???」となっていると、しびれを切らせた店長がやってきました。
「この今日の分のカレーを解凍したカレーの大鍋に移して一緒に加熱しろ。そして加熱が終わったら提供用のカレー鍋に入れて保温器にかけろ」と伝えたかったようですが、そんなのは一切伝わりませんでした。
「なんで俺が言ったことができねえんだ!?」と店長はイライラしていましたが、言ってることがわからなきゃ、できるわけないですよ……。
実はここのお店、キッチンカーが2台つながっており、それぞれで違う商品を販売。その2つのお店の両方をこの店長が1人で統括しているのです。
それだけ複雑な仕事にもかかわらず、この店長は仕事を人に任せたがらず全部、自分で細かく指示を出します。こだわりが強いんでしょうがバイトとのコミュニケーションはうまくいっておらず、思い通りに進まないことが頻発。それに腹を立てているようです。
開場時間となり、お客様がパラパラとご来店。僕はお客様に提供するカレー作りを任されました。
秤でご飯を測ってよそい、そこにカレーをかけて脇にお肉と福神漬を添えてできあがり。それをキッチンカー横の台に置くと、下にいるバイトさんが購入者に提供するという流れです。
作業をする際、ミホさんに「カレーは絶対にレードル(おたま)1.5杯分にしてください。多いと店長に怒られます!」と言われ、注意して盛り付けを行う僕。
ここのバイトの皆さん、とにかく「店長に怒られる」というワードを連発しており、常に店長の目を気にしています。これでは自主的になにかをやろうという気にはならないんだろうなと察しました。
この作業自体はシンプルなので問題なくできたのですが、カレーはあまり売れず、ローストビーフ丼など他のメニューのオーダーがどんどん入ってきます。バイトの皆さんは他の調理作業などをしつつ、次々に入るオーダーの盛り付けもしなければいけないためとても忙しそう。
見かねて「その丼の盛り付け方、教えてもらえればやりますよ?」と言ってお手伝いすることに。「ローストビーフ丼はカレーと同じ量のご飯を入れ、ネギを敷いてお肉を6枚乗せてタレをかけてください」と教わり、作業を進めます。