食事しながら読むのはオススメしないけど…連載再開!『葬送のフリーレン』が老若男女に人気の理由葬送のフリーレン第1巻

ファンタジー漫画「葬送のフリーレン」が人気です。アニメ化され、各国の配信サービスでも視聴者から支持されています。この夏には東京の東急歌舞伎町タワーや、石川県の金沢21世紀美術館など各地でイベントや特別展が開催されました。国や世代を問わず幅広い層から人気の理由とは?(コラムニスト 坪井賢一)

国や世代を問わず幅広い層から人気のワケ

「葬送のフリーレン」は原作・山田鐘人、作画・アベツカサのファンタジー漫画です。「週刊少年サンデー」(小学館)で2020年に連載をスタートし、24年末から一時中断したものの、この7月末から再開しました。

 24年9月に第1シーズン28話の放映を終えていたアニメも、26年1月から第2シーズン開始が決まりました。コミックスは14巻、全世界で3000万部を発行しているとのこと。なお、アニメのオープニングテーマ曲である、人気グループYOASOBIの「勇者」も話題です。

「葬送のフリーレン」はまぎれもなく日本の作品ですが、舞台は中世や近世のドイツをモデルにした架空の国々です。登場人物や地名などがドイツ語とドイツ語風の造語で、これが実に面白い。原作者が北欧神話(ゲルマン神話)を参考にしているからでしょう。北欧神話は、キリスト教化されるより、はるか昔の神話や伝説の物語です。

 北欧神話に触発されたリヒャルト・ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」や、ジョン・R・トールキンの小説『指輪物語』(映画は「ロード・オブ・ザ・リング」)と同じ、あるいは類似した種族や設定が「葬送のフリーレン」にも登場します。そのため、Z世代の若者だけでなく、“ワグネリアン”(ワーグナー・ファン)やファンタジー小説を好む中高年も非常に馴染みやすいのです。