
「葬送のフリーレン」のあらすじを大まかに言うと、10年かけて魔王を倒した「勇者4人」がその後どうなったのか、ロードムービーのような、旅の物語です。
勇者4人とは、まず主人公のフリーレン。可愛らしい女性戦士で、1000年以上生きているエルフ族の魔法使いであり、人間ではありません。エルフは耳が長く、尖っている見た目。自然と深く結びついた存在で、精霊と言えます。人間の時間感覚、身体感覚とは全く異なるのも特徴です。フリーレンは最上級の魔法使いで、向かうところ敵なしの強者として描かれています。
エルフ族は、前述した『指輪物語』や、「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビットの冒険」で有名に。ピーター・ジャクソン監督の映像によって尖った耳が強く印象付けられました。
北欧神話のエルフは、美しい妖精と地下に住む種族の2種類いるそうです。フリーレンは前者のエルフでしょう。「ロード・オブ・ザ・リング」では、俳優のケイト・ブランシェットとオーランド・ブルームが美しいエルフ役を演じています。
さて、勇者の2人目はヒンメル。好男子で若い人間の戦士です。魔王を倒した後、各地に銅像が作られています。
3人目は大酒のみの僧侶、ハイター。ヒンメルとは幼なじみで、つまり同世代の人間ですが、人間としてはヒンメルより長寿です。
4人目はドワーフの戦士、アイゼン。人間とは異なるドワーフ族で、背が極端に低く、長いひげをたくわえています。人間より寿命は長いですが、エルフほどではありません。ドワーフも『指輪物語』や「ロード・オブ・ザ・リング」に登場します。北欧神話に由来し、地下に住んで鍛冶の技術を持つ小柄な種族として描かれています。
ロードムービーの始まりは、この4人が魔王を打倒した後、王から祝福され、解散することに。半世紀に一度現れる彗星群を眺めて、フリーレンが「半世紀後にこの彗星をまた見ましょう」と言います。
1000年以上生きるフリーレンにとって、50年後はあっという間。約束通り王都を再訪し、ヒンメル、ハイター、アイゼンに会います。すると人間であるヒンメルとハイターは70代後半の老人で、アイゼンの風貌はあまり変わっていませんが体力は高齢者でした。
やがてヒンメルとハイターは死に、フリーレンは時間感覚のまるで違う人間をもっと知りたいと思い、旅に出ます。ただし、目的はもうひとつ。すでに最上級の魔法使いであるフリーレンは、さまざまな魔法のマニュアル書(魔導書)のコレクターでもありました。こうして2つの目的から旅に出る物語が描かれていきます。