この作品のユニークさ、ドイツ語名の意味は?
魔導書といっても、戦闘用の「花弁を鋼鉄に変える魔法」「石を弾丸に変える魔法」「見た者を拘束する魔法」「風を業火に変える魔法」といった実戦的な魔法だけではなく、「早口言葉を噛まずに言えるようになる魔法」「パンケーキを上手にひっくり返す魔法」など、ヘンテコな魔法もありますが、魔法コレクターのフリーレンはどんな魔法も収集します。
打倒した魔王の配下、魔族たちの襲撃や、旅の途中の村や町で魔物退治を依頼されて戦い続けます。仕事の対価として各種魔導書を入手しながら旅を続ける中、同行メンバーは変わっていきます。なお、魔族を大量に殺害した恐ろしいフリーレンということから、魔族が「葬送の」と名付けたようです。
フリーレンに同行するのは、ハイターが育てた少女フェルン、アイゼンの弟子のシュタルク、僧侶枠の大酒のみザインです。フェルンも愛らしい少女ですが第1級魔法使いへ、少年シュタルクも師匠のアイゼン並みの斧(武器)使いへ成長していきます。
この作品のユニークさのひとつである、ドイツ語名の意味を説明しておきます。フリーレン(Frieren)は英語のFreeze(凍る)、ヒンメル(Himmel)は「空・天」、アイゼン(Eisen)は英語のIron(鉄)、ハイター(Heiter)は「朗らかな」、シュタルク(Stark)は英語も同じスペルで「強い」、フェルン(Fern)は「遠く」、ザイン(Sein)は「存在」です。
前述した『指輪物語』や『ホビットの冒険』に登場するエルフ、ドワーフ、人間という主な種族は、「葬送のフリーレン」に踏襲されています。楽劇「ニーベルングの指環」は4部作で、その序夜「ラインの黄金」第1幕第1場に登場するアルベリヒは、地下世界に住むドワーフ(ニーベルング族)の王です。鍛冶や石工の技術に優れていますが、ワーグナーは地下でラインの黄金を金床で叩く情景をリアルに表現しています。