電車を待つ人々写真はイメージです Photo:PIXTA

長生きする人にはどんな共通点があるのだろうか。多くの研究結果が裏付ける、人間の寿命を決める意外な要因とは?ノンフィクション作家でジャーナリストの笹井恵里子さんが取材した。(ノンフィクション作家・ジャーナリスト 笹井恵里子)

長生きする人と
早死にする人の違いとは?

「性格」と「寿命」には深い関係があるという。

 そう聞くと驚くだろうか。だが多くの研究結果の裏付けがあることだ。

 性格というと、本人の主観的なもの、あるいは他者評価のように思われがちだが、実際には日常生活におけるその人の「行動」から見えてくる。好奇心旺盛なら最先端のものを自分の中に取り入れていき、社交性が高い人なら他者との会話を楽しむ時間が長く、几帳面な人なら規則正しい生活リズムを送りやすい。

 長年、パーソナリティーと健康について調査してきた東京都健康長寿医療センターの増井幸恵准主任研究員は「パーソナリティー、つまりその人らしさや性格傾向と『特定の疾患』『健康』『寿命』に関する研究は1950年代から行われてきました」と解説する。

「これまでの数多くの研究から、健康指標とパーソナリティーには、4つの経路があると考えられます。一つ目は、ある特性を持つ人は健康にいい活動を取りやすく、そのために長寿につながるということです。二つ目はストレスにどう対処するか。苦手な特性を持つ人は寿命の短さにつながってしまいます。三つ目は認知機能が高く維持される性格特性があります。つまり認知症を発症しにくいということで長寿につながるのです。そして四つ目が、私たちが最近注目している食行動。性格によって食べ方が変わることが、最近の研究でわかってきています」

 それではあなたは下記5つの要素のうち、どの特性が最も高いと思うだろうか。

寿命を左右する「性格」とは?
【5つの性格特性の内容】
        高い/低い
・神経症傾向:不安が高い、心配性、ネガティブな捉え方/のんき、のんびり、気分が安定している
・外向性:社交的、活動的、刺激希求、ポジティブ/一人を好む、控え目、安定を求める
・開放性:新しいもの好き、柔軟な考え方、審美的/なじんだものを好む、保守的な考え方
・調和性:他者を思いやる、協力的、優しさ/自己中心的、競争的、疑い深さ
・誠実性:目標追求、意志の強さ、几帳面、努力家/意志の弱さ、自信がない、ルーズ、いいかげん


※出所:「NEO性格検査における5性格特性の内容」をもとに東京都健康長寿医療センター・増井幸恵准主任研究員が解説

 健康的に長生きするために最も大切な性格特性とは――。