(2)納期を伝える
どんな態勢でボールを受ければいいのか

 さらに、このタイミングで「納期」を伝えましょう。

・ 今日中にやってほしい
・ 今週中にやってほしい
・ 月末までに欲しい

 などです。

 納期が「今日中」とは、つまり「他の仕事を後回しにしてでも、今すぐ取り掛かってほしい」ということを意味します。

 その場合、相手は、他の仕事のことを思い浮かべながら話を聞いて、「あの仕事は明日に回そう」とか「あれは○○さんにお願いしよう」などと考えていく必要があります(そうしなければ、新しい依頼を受けられるかどうか、判断がつきません)。

 また、話が終わった直後から作業に入らないといけないため、確認すべき点がないかをその場で判断することも求められます。

「今週中」は、「仕事の都合をつけながら、うまく作業スケジュールを練って間に合わせてもらいたい」という要望です。「今日中」よりは少し心の余裕がある話ですが、とはいえ、他の仕事の状況によってはかなり難しいかもしれませんので、そのあたりをイメージしながら話を聞いていく必要があるでしょう。

「月末」は、「時間の空いているところを見つけて実施してもらいたい」というお願いです。他の仕事をキャンセルしたり、特別な調整をしたりせずに、新たなタスクとして作業リストに追加することを期待しています。

 聞いている相手は、比較的ゆったりと聞きながら、進め方・やり方を考えることになります。

 このように、納期によって「ボールを受ける態勢」が大きく変わってくるわけです。

あなたが「投げてほしい」と思う
“受け取りやすいボール”を投げよう

 キャッチボールのポイントは、「相手が受け取りやすいボール」を投げることです。これはすなわち、「自分が受け取りやすいボール」を考えるということです。

 自分が急に呼び出されて、「明日までにこれをやってくれ」と言われても困る……と思うのならば、そういう依頼の仕方は避けましょう。

 詳しい説明もなしに資料だけ渡されて、「これ読んだらわかるから。困ったら質問して」と言われても、何から手を付けていいかわからない……と思うのであれば、丁寧に説明を加えるべきでしょう。

 依頼する側は、依頼する内容についていろいろな情報を知っているため、そうした前提情報を「知っていて当たり前」だと思いがちです。

 しかしながら、相手は全くそれについて知らない可能性もあるわけです。

 初耳である可能性、その領域に知見がない可能性、そういうことを想像しながら「自分が相手の立場だったら、どんなボールならば受け取りやすいか」を考え、それに応じて投げ方を変えていきましょう。

 そうすることで、仕事のキャッチボールは、スムーズなものに変化するはずです。