デキる上司の「結果を出す技術」写真はイメージです Photo:PIXTA

終身雇用の崩壊で、大企業から中小企業やベンチャーに転職する人も珍しくなくなってきた。経験を生かして活躍する人がいる一方で、思い通りの成果を残せず、歯がゆい思いをする人もいる。「大企業でしか生きられない人」と「大企業の外でも活躍できる人」――その違いは何だろうか。(人材研究所代表 曽和利光)

「前の会社では評価されたのに……」
活躍できない大企業出身者の特徴とは?

 実績を引っ提げて大企業から意気揚々と中小やベンチャーに転職したのに、なぜかうまくいかない。こんな現象に、採用現場でよく遭遇しました。

「前の会社ではあんなに評価されたのに」と憤りや焦りを覚えるのですが、これは能力がないわけではありません。

 大企業で高い評価を得ることは、簡単ではないです。ただ、その能力が外部でも通用する「普遍能力」ではなく、特定環境に最適化された「特殊能力」である場合、転職という環境変化に耐えきれなくなるわけです。

 ひとことで言えば、大企業“慣れ”。室内で育った植物が、急に荒野に放り出されたようなものです。環境に依存した結果、外部で通用する能力との間にギャップが生まれているのです。

「大企業慣れ」とは何か
4つの特徴とは?

 この大企業慣れは、いくつかの共通する特徴があります。

1. 分業のスペシャリストになりすぎている

 大企業は、効率性を追求するため、仕事が徹底的に細分化されています。

 営業であれば、新規開拓と既存顧客の深耕で担当部署が分かれていたり、マーケティングであれば、市場調査、商品企画、プロモーション、広告運用と、専門家がバラバラに配置されていたりするのです。

 この環境下で成果を出してきた人は、担当領域においてはまさにスペシャリストです。