2026年のドル円は「155~160円」のレンジ相場へ、サナエノミクスとトランプ政権のバラマキ財政が作る相場の死角Photo:Andrew Harnik/gettyimages

26年のドル円相場での注目点
金利水準と株式市場

 26年のドル円相場を取り巻く環境として注目されるのは、(1)主要国では金利変動よりも金利水準が重視される可能性、(2)不安定な株式市場の影響(リスクオン/オフ)、の2点が考えられる。

 多くの主要国でインフレが鎮静化し、中立金利に向かって利下げが進展した結果、26年の政策金利の変更は1、2回程度にとどまる見込みだ。こうした状況では、政策変更が予想される前後に為替が多少動くとしても、金融政策自体は為替相場の持続的な方向感を生む材料ではなくなると思われる。

 ユーロ圏、カナダ、スウェーデンでは政策金利は中銀が推計する中立金利のレンジ内に収まっており、政策変更は予想されていない。

 ニュージーランド(NZ)とスイスでは中立金利レンジを下回る水準まで利下げが行われたが、NZ中銀は11月の会合でいったん利下げを停止する姿勢を示し、スイス中銀はインフレ率がプラスに回復したこともあってゼロ%までの利下げで様子見姿勢をとっている。

 ノルウェー、米国、オーストラリア、英国では政策金利が依然として中立金利を上回っている。このため、追加利下げの可能性は残るが、いずれもインフレ率の高止まりにより慎重な利下げ姿勢をとっている。

 一方、日本では政策金利が中立金利を下回っている。しかし、前回の利上げ(25年1月)から10カ月が経過した中、高市政権の金融緩和維持姿勢の影響で利上げペースは鈍化する見込みだ。仮に12月に追加利上げがあるとしても、植田総裁が「中立金利に近づくほどより慎重に判断する」とかつて述べていたこともあり、次の利上げは1年程度先となる可能性が高い。