世界的に見ると、2013年にフィリピンをおそった台風「ハイエン」は猛烈な強風と高潮で死者・行方不明者が8000人を超える災害となった。
また、2024年8月にアメリカ南部に上陸したハリケーン「ヘリーン」は、200人以上の犠牲者、大規模な洪水や土砂崩れで甚大な被害が出た。
日本でも、毎年数個の台風が上陸し、特に最近では2019年の房総半島台風(台風15号)、東日本台風(台風19号)で、広範囲にわたって甚大な被害が生じたことは記憶に新しい。
東京ドーム200杯分の水が
上空まで立ち上り台風に変化
地上を吹く風は、すべて大気中の気圧の差があるところで生じる。気圧の差が大きい地域の間では強い風が吹く。この気圧の差が気象予報で見かける「低気圧」と「高気圧」となる。
いずれも基準となる決まった数字があるのではなく、周囲と比べて相対的に表示される。気圧の差が熱帯の海上で起きると「熱帯低気圧」が誕生し、発達して強風や大雨を伴う台風やハリケーンになる。いずれも地球上にある空気の「上昇気流」からはじまるのである。
熱帯の海上では毎秒数メートルの速さで上昇気流が発生し、海面から10キロメートルほど上空まで立ちのぼる。このときに水蒸気は水滴となって巨大な雲、積乱雲ができる。
この高さまで成長した雲は、1平方キロメートルあたり3万トンほどの大量の水が集められている。東京ドーム200杯分の水が上空に溜まり、底面積が数十万平方キロメートルの巨大な積乱雲に発達すると台風となる。
台風は、熱帯の海上で発生した低気圧(熱帯低気圧)のうち、最大風速(10分間平均)が毎秒17.2メートル以上となったものである。台風は大きな空気の渦で、風は地球の自転の影響で反時計回りに吹き込み大雨、強風、高潮などの災害を生む。
たった2度の海面温度上昇が
台風のモンスター化を引き起こす
先にも触れたように、近年、台風の被害が拡大している。そこで話題に上がるのが、地球温暖化の影響である。そもそも温暖化によって台風は増えるのだろうか。