台風は基本的に海面と上空の温度差によって生じる。温暖化によって上空の温度が上昇すると、両者の温度差が小さくなるため、上昇気流は弱くなり、台風はむしろ減少すると考えられている。
国連の世界気象機関(WMO)と気象庁の気象研究所は、地球全体の熱帯低気圧の発生数は最大で3割ほど減るという報告を出した。
大洋ごとの発生確率で見ると、台風が減る地域と増える地域に分かれるシミュレーション結果が出ている。日本など太平洋の北西部では3割以上減るのに対して、太平洋の北部では6割も増える。
しかし、温暖化によって地球全体で台風が減少するいっぽう、台風1つひとつの規模は巨大化する。温暖化で海面温度が上昇すると発生する水蒸気が多くなり、積乱雲の発生頻度が上がるのが原因だ。
海面温度が2度高くなると台風のエネルギーは最大2割、また降雨量は3割増えるという予測がある。
その結果、最大風速が毎秒45メートルを超える熱帯低気圧の数が増え、全体として災害が激甚化する。
日本近海では台風を発生させやすい大気循環になり、巨大台風が増加する可能性が高い。しかし、こうした予測の結果は研究者によってばらつきがあり定説はない。
台風や豪雨が起きると
国土の7割が危険地帯に
豪雨や台風にともなって発生するのが、洪水や土砂災害である。毎年のように川の氾濫による床上、床下浸水とともに、がけ崩れによる家屋倒壊や道路の寸断などが起きている。
まず、水害が多発する理由は、日本独特の国土の特徴と周囲の環境にある。
日本列島は国土の7割が山地や丘陵で、急傾斜な場所が多い。そこに大雨が降ると森林が吸収できる水量を超えて川へと流れ出すのである。短時間に水かさが増すことで、洪水などの災害が発生しやすい。
もちろん急傾斜な場所が多いということは、がけ崩れ、地すべり、土石流が発生しやすいのである。
そのような地形を持ちながら、海に囲まれているため、大洋の水蒸気の影響を受けて大雨が降りやすく、豪雪にも見舞われやすい。降った雨が一気に川に流れ込むと水かさが増し、氾濫等の被害が発生してしまうのである。