2024年は、台風10号による土砂災害だけで128件発生している。2023年の年間の土砂災害の件数は1471件だった。西日本豪雨があった2018年は、2343件に及んでいる。
このように国土のおよそ7割が山地の日本では、いたるところで土砂崩れが起きている。
1時間当たりの降雨量
20ミリメートルがデッドライン
土砂災害は単独で起こることもあるが、ほかの災害と連動して起こることが多い。
特に、集中豪雨などの激しい降水によって、土砂崩れが誘発される。雨によって地盤がゆるむからだと言われるが、「地盤がゆるむ」とはどういうことなのか。
斜面に降った雨水は、地表面を流れる表面流と地中にしみ込む浸透水に分かれる。雨水が地中に浸透すると、雨水がしみ込んだ分だけ表層地盤が重くなると同時に、それまで空気に満たされていた土粒子の隙間を地中に浸透した雨水が満たす。
その結果、地盤中の「間隙水圧」が高まる。
水圧は地下の深いところでより大きくなるため、土粒子が浮力を受けて、浮いているような状態になる。これを「地盤がゆるむ」と言う。ゆるんだ地盤は重力によって下方へ移動し、土砂崩れが起こるのである。
1時間当たりの雨量が20ミリメートルを超えると小規模な土砂崩れが多発し、40ミリメートルを超えるか総雨量が250ミリメートルになると、中規模の土砂崩れが発生するようになる。総雨量が300ミリメートルを超えると大規模な土砂崩れが発生する可能性が高くなる。
山体崩壊を引き起こす台風は
もはや火山噴火レベルの災害
土砂災害は、斜面上の土砂が重力によって下へ移動することをきっかけに起こる。土砂災害が起きた際にはがけ崩れ、地すべり、土石流といった言葉が使われる。これらは土砂が動く速さと移動する土砂の規模で区別されている。
まず、土砂の移動には「崩れ」と「すべり」の2種類がある。崩れタイプには山崩れやがけ崩れがあり、すべりタイプには地すべりがある。
一般に、がけ崩れは地すべりに比べて規模が小さく、斜面勾配がきついところで発生し、土砂の移動速度が速いのが特徴だ。豪雨が引き金となって起こりやすい現象である。