感じのいい人が持っている
哀れみにも似た視点

 彼らは高圧的な人に対峙(たいじ)したときも、その勢いに飲まれ、感情的になることはありません。むやみに反発すれば、火に油を注いだように相手がヒートアップしてしまいます。

 感じのいい人は、とても冷静な心を持ち合わせています。高圧的な人にブチ当たっても、同じく高圧的な態度で相手を威嚇したりしません。ある視点を持つことで、驚くほど冷静に対処しているのです。

 それは「この人は、コミュニケーションが下手で、かわいそうな人だな」という、ある種の哀れみにも似た視点です。先ほども述べたように、高圧的な人はコミュニケーションが不器用で、感情を自分でコントロールできない人です。かんしゃくを起こす子どものように、未熟な部分を持っているとも言えるでしょう。

 そうした人を「かわいそうだな」と思いながら、ただ冷静に見つめ、事務的に淡々と対応していくのがポイントです。「かわいそうな人」という視点は、ちょっと意地悪な視点だと思うかもしれません。しかし、決して相手を見下すものではありません。むしろあなた自身の心の平穏を保つための防衛策なのです。

 この冷静な視点を持つことで、相手の感情の渦に巻き込まれることはありません。

相手の言葉を復唱して
「○○ですか?」でペースを崩す

 ここから高圧的な人を黙らせる具体的な一言を紹介していきます。まずは「○○ですか?」と問いかける言葉です。

 高圧的な人は、自分の意見を一方的に押し付け、こちらの反論を許さない勢いで話を進めがちです。むやみに反論するのではなく、「○○ですか?」と相手が言ったことをそのまま復唱してみましょう。冷静な問いかけで、相手のペースを崩します。

 例えば、相手が「これは絶対にこうすべきだ!他に選択肢はない!」と感情的に主張してきたとします。その後、あなたが落ち着いたトーンで「他に選択肢はない、ということですか?」と返してみるのです。

 自分の言葉がそのまま返ってくると、一瞬、冷静になる瞬間が生まれます。自分の言葉を客観的に聞くことで、その極端さや、論理の飛躍に気づくきっかけにもなるでしょう。