「もっと早く知りたかった…」“いいとこ取り”人付き合いの極意
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)など、累計33万部を突破した人気シリーズの原点、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)です。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。

完璧に価値観が合う人を探していませんか?
今日のテーマは、人とのコミュニケーションについてです。
私たちは、友達や同僚など、いろんな人と接する機会があります。その中で、無意識のうちに「自分の価値観と完全に合う人」を探してはいないでしょうか。言い換えると、「自分の価値観に合う人でないと受け入れられない」という考え方です。
例えば、会話の中での些細な言動や仕草、話題の選び方などから「この人とは合わないな」と感じた瞬間に、すぐに関係をシャットダウンしてしまう。そうした経験を持つ人は少なくないと思います。
もちろん、自分を守るために人間関係をシャットダウンすることが大切な場面もありますので、一概に悪いことだとは言いません。
すべてが合う人でなければ
と考えると誰もいなくなってしまう
しかし、少しでも価値観が違うと感じるたびに相手を遠ざけていると、最終的には自分の周りに誰もいなくなってしまう、ということにもなりかねません。
その時に、「一人でも全く問題ない」と思えるのであれば良いのですが、現実は、人とのつながりがなくなると寂しさを感じてしまうものです。
相手の「美味しいところ」だけを見る付き合い方
そこで私が提案したいのは、「すべてが合わなくても良い」という、少し肩の力を抜いたスタンスで人と関わってみることです。
例えば、飲み会などで話している中で、一部どうしてもついていけない話題があったり、「この人は少しハラスメント気質かもしれない」と感じたりすることがあったとします。そのような時でも、その部分にはあえて深入りせず、「心の中だけの判断」に留めておくのです。
そして、その人の他の良い部分や、一緒にいて楽しい部分に目を向けてみる。このように、相手の「美味しいところ取り」をするような、柔軟な構え方も大切なのではないでしょうか。
一部分でその人全体を否定するのはもったいない
考えてみれば、すべてが悪い人というのも存在しないのと同じで、すべてが良い人もまた存在しません。それは自分自身にも言えることです。誰にでも良いところと悪いところがあります。
だからこそ、人の良いところ素直に「そこは素敵だな」と認めることは、とても重要です。
もし、相手の少し受け入れがたい部分に直面した時、その人の全体を否定してしまう癖がついていると、その人が本来持っている素晴らしい部分を見る体験ができなくなってしまいます。それは、非常にもったいないことだと私は思います。
学びの機会を逃さないために
人にはいろんな生き方や考え方があります。ある一面では「どうしても無理だ」と感じる相手でも、別の面でハッとさせられるような、学びになる部分を持っていることは少なくありません。
ほんの一部分が合わないという理由だけで、その人との関わりをすべて断ってしまうのは、自分自身の成長の機会を逃していることにも繋がるのです。
間口は広く、奥の金庫には鍵を
もちろん、誰とでも深い関係になる必要はありません。仕事のパートナーや人生の重要な相談相手など、深い信頼関係を築くべき相手は、慎重に見極める必要があります。
相手の欠点が大きな問題につながる可能性があるなら、関係を深めるべきではないでしょう。しかし、普段の一般的なお付き合いの範囲であれば、少し合わない点があるからといって、すべてを拒絶してしまうのはもったいない、というのが今日の話の結論です。
「人付き合いの間口は広く開けておくけれど、心の奥にある大切な金庫にはしっかりと鍵をかけておく」――このようなイメージで、柔軟な人間関係を築いてみてはいかがでしょうか。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。