「人間関係の3本柱」をうまく使って
心のバランスをととのえよう
心理学者のアルフレッド・アドラーは、「人生には3つの課題がある」と言っています。
人生の悩みごとはすべて対人関係に関わるものであり、それを「仕事の課題」「交友の課題」「愛の課題」と定義しているのです。
仕事関係者、友人、家族や恋人はそれぞれ異なる場で異なる関わり方をするようになっていて、それぞれに異なる課題があります。何かの人間関係で行き詰まったときは、「もう誰も信じられない」「誰ともつき合いたくない」などと思わず、それぞれ人とのつき合い方は違うものだと思ってバランスを取るようにするといいでしょう。
3本の柱があるのだから、こちらがダメなら今はこちらを大事にしよう、と考えればいいのです。もっとも、アドラーの時代とは社会も変わっているので課題自体がそのまま今に通用するかどうかは疑問もありますが、3つの柱を持ってうまく切り替えるという方法はいつの時代にも通用するものです。
「逃げ場」は甘えではない
石川啄木にとっての「家庭」とは
仕事1本でやっていると、仕事がうまくいかなくなったときに逃げ場がなくなってしまいます。たとえば石川啄木という人は働くことがあまり得意ではなかったのですが、家族のために仕方なく働いていました。
けれども、自分のダメさを実感することもあったようで、「友が皆 我より偉く 見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻と親しむ」という歌を残しています。これは、友だちがみんな自分より偉く見えた日、花を買ってきて奥さんとその花を愛でて仲良くするという内容です。
仕事上でコンプレックスを覚えたときに、家に帰ってきて奥さんと花を愛でることでストレスの解消をする。つまり、啄木にとっては家庭が仕事のストレスを解消する場所であり、大事な自分の居場所になっていたのです。
彼は家庭だけでは収まらなかったところもありますが、自分の居場所が1つだけになってしまうとストレスがたまりすぎてしまうことになります。